アジサイ

学名:Hydrangea macrophylla (Thunb. ex Murray) Ser. f. macrophylla

英名:Japanese hydrangea

分布:日本各地

有毒成分

アジサイの有毒性分を青酸配糖体と記載しておりましたが、誤りであることが明らかになりました。微量の青酸配糖体が検出されていますが、野外で観察されている中毒の原因物質は不明です。詳しくは、「写真で見る家畜の有毒植物と中毒」を御覧ください。

青酸配糖体(cyanogenic glycosides)を含む。植物や腸内細菌の酵素で加水分解され、青酸(シアン)を遊離する。青酸配糖体はスーダングラスなどのソルガムやマメ科のシロツメクサ、バラ科のウメ、アンズ、リンゴなどの未熟な果実などにも含まれている (2)。青酸はミトコンドリアの呼吸酵素シトクロムオキシダーゼを阻害し、ATPを枯渇させる。もっとも障害を受けやすいのは中枢神経系。

中毒症状

呼吸促迫、興奮、あえぎ、ふらつき歩行、痙攣、麻痺などを経て、重篤な場合は死亡。

急性の場合は突然死。

血液はオキシヘモグロビンによる鮮紅色。

1920年にアメリカで馬および牛のアジサイ中毒の報告があり、動物は下痢、体温上昇、呼吸数および心拍数の増加、骨格筋の強い収縮などを呈し、山羊のように足を突っ張って飛び上がったりしたが、対症療法を施したところ死亡せずに回復 (1)。

診断法

青酸配糖体から遊離した青酸を血液や胃内容中から検出する。定性試験キット(和光純薬、シアンテスト−ワコー)がある。あるいはピリジン・ピラゾロン法で定量可(最新裁判化学)。

植物中の青酸配糖体は、酵素処理して青酸を遊離させてから分析する必要がある(衛生試験法・注解)

治療法

亜硝酸ナトリウムやチオ硫酸ナトリウムの静脈内投与が有効。亜硝酸ナトリウムによりヘモグロビンがメトヘモグロビンに変化。メトヘモグロビンは直ちに青酸と結合しシアンメトヘモグロビンになるため、青酸による障害が消失。ただし、メトヘモグロビン濃度が40%をこえないよう注意。チオ硫酸ナトリウムは青酸と反応してチオシアネートとなり、毒性を消失させる。成人の場合、3%亜硝酸ナトリウム溶液10 mlを3分間かけてゆっくり静注し、つづいて10%チオ硫酸ナトリウム溶液120 mlを10分かけて静注(九州大学医学部衛生学講座井上尚英教授私信)。

文献

  1. Bruce, E.A. 1920. Hydrangea poisoning. J.Am.Vet.Med.Assoc. 58: 313-315.
  2. Cheeke, P.R. 1995. Endogenous toxins and mycotoxins in forage grasses and their effects on livestock. J.Anim.Sci. 73:909-918.

 

「写真で見る家畜の有毒植物と中毒」

 

(最終更新:2012.6.12 アジサイ中毒の原因物質について最新情報を追加
       2018.2.8


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