パツリン
由来:
Penicillium patulum, P. claviforme, P. expansum, Aspergillus clavatusなどが産生するマイコトキシン.
カビが寄生したリンゴやそのジュースを汚染するマイコトキシンで,ヨーロッパなどで問題になっている.サイレージのパツリン汚染も報告されており(1),家畜への影響も予想される.
毒性:
牛での中毒例は少ない.
わが国では変敗した麦芽根(malt sprouts)飼料による牛の中毒が1918年に報告されており,その後1952年にも同様の事例が発生した.山本はこの変敗麦芽根からP. urticaeを分離し,またパツリンを検出したと報告している(6).
1954年に発生した牛の麦芽根中毒について検討した大久保らは,当該麦芽根からはパツリンを産生するPenicillium属菌やA. clavatusは検出されず,多量のA. oryzaeが検出されたと報告している(5).
作用機序:
蛋白質のSH基と結合し,蛋白質を変性させることにより毒性を示すと考えられているが(2),パツリンとシステインの結合物自体の毒性は低い(4).
中毒症状:
チアノーゼ,痙攣など.
病理学的には,肝細胞の壊死,無気肺,肺胞内の出血など(3).
診断:
マイコトキシンの検出
文献:
1) Dutton, M.F. et al.: Mycopathologia, 87, 29 (1984).
2) Fliege. R. et al: Chem. Biol. Interact., 123, 85 (1999).
3) Hayes, A.W. et al.: Toxicology., 13, 91 (1979).
4) Lindroth, S. et al.: J. Environ. Pathol. Toxicol. Oncol., 10, 254 (1990).
5) 大久保義夫ら:日獣学誌,17, 145 (1955).
6) 山本丈夫:薬学雑誌,74, 806 (1954).
(最終更新:2005.1.14)