モロヘイヤ(台湾ツナソ)

学名:Corchorus olitorius L.

英名:mulukhiyya, Jew's mallow

モロヘイヤは、コウマ(ツナソ、C. capsularis)と極めて近縁のシナノキ科の一年生草本です。原産地はインド西部あるいはアフリカと言われ、コウマが多湿を好むのに対してモロヘイヤは比較的乾燥したところで栽培されています。茎はまっすぐな円筒形で、高さは2mくらいにまでなります。葉は長楕円形で、周囲は鋸歯状をしています。花は黄色でさく果は円筒形をしています。さく果の中は数室に分かれ、100個以上の種子が入っています。コウマは重要な繊維植物で、繊維をジュート(jute)と呼んでいます。モロヘイヤからもジュートが取れますが、繊維が短いため品質が劣ります。一方、モロヘイヤの葉はコウマの葉と違って苦みがなく栄養素に富むため、野菜として食用にされてきました。モロヘイヤとはエジプト語で野菜の王様という意味だそうで、クレオパトラの美の源だったとも言われています。

冊子の種子の写真は間違っています

有毒成分

モロヘイヤの成熟した種子にはコルコロシド(corchoroside)などの強心配糖体が含まれていて、主要なアグリコン(aglycon, 非糖体)はストロファンチジン(strophanthidine)であることが知られています。なお、食用にされている葉には強心配糖体は含まれていないことが、国立衛生試験所(現国立医薬品食品衛生研究所)の調査で確認されていますので(日本薬剤師協会のサイトへのリンク)、安心して食べることが出来ます。未熟な種子にも強心配糖体は含まれていないようですが、誤って食べないようにした方が無難でしょう。

強心配糖体の詳細は、キョウチクトウの項を参照してください。

検査法

ストロファンチジンの検出は薄層クロマトグラフィーで行います。ストロファンチジンはスタスオット(Stas-Otto)法による塩基性画分に回収されるので、これをシリカゲルプレートで展開し、濃硫酸噴霧後加熱して、長波長紫外線(360nm)による蛍光を観察します(4)。

中毒症状

モロヘイヤあるいはコウマの種子による牛の中毒が、オーストラリアおよび日本で報告されています(3,4)。1996年に長崎県で発生した黒毛和種牛の中毒事例では、中毒症状として食欲不振、下痢、起立不能、沈欝、体温低下、心拍微弱が報告されています。異常を呈した成牛3頭および子牛1頭のうち、成牛3頭が死亡しました。血液所見では、ヘマトクリット値が極めて高く、血清総蛋白質濃度も上昇しました。また、CPK、AST、BUN、中性脂肪なども高値を示したと報告されています。

豚への種子の給与実験でも、食欲不振、嘔吐、下痢などの中毒症状がみられたと報告されていますが、牛に較べて感受性は低いようです(1)。また、ニワトリへの給与試験ではなんら異常がみられませんでした(2)。

病理所見

肉眼的には、心外膜、心耳、心内膜の出血が認められますが、その他の臓器に著変はみられません。組織学的には、心内膜、特に心房および心耳に著名な出血がみられ、肝類洞および小葉間血管の鬱血、脾臓の洞内の出血、ヘモジデリンの沈着も認められます。

文献

1) Johnson, S.J. and Toleman, M.A. 1982. The toxicity of jute (Corchorus olitorius) seed to pigs. Aust. Vet. J. 58:264-265.

2) Johnson, S.J. and Toleman, M.A. 1984. Apparent lack of toxicity of jute (Corchorus olitorius) seed for poultry. Aust. Vet. J. 61:124.

3) McKenzie, R.A. et al. 1992. Suspected jute seed (Corchorus olitorius) poisoning of cattle. Aust. Vet. J. 69:117-118.

4) 濱口芳浩ら 1998.牛のモロヘイヤ(Corchorus olitorius L.)種子中毒.日獣会誌.51:407-410.

 

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最終更新日:2018.2.8
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