ドクニンジン

学名:Conium maculatum L.

英名:hemlock, poison hemlock(米)

ドクニンジンはヨーロッパ原産のセリ科の2年草で、北アメリカやアジアにも分布しています。茎は、1〜2m以上にもなり、7月から9月にかけて白色の花をつけます。英名は hemlock ですが、アメリカでは poison hemlock とよび、単に hemlock と呼ぶと建材に使われるツガ類をさすので注意が必要です。

ドクニンジンは有毒なアルカロイドを含み、ソクラテスの処刑に使われたといわれています(1)。また、パセリやシャクと間違えて食べたための中毒が発生しています(2、3)。ドクニンジンは潰すと不快な臭い(ネズミの尿の臭いとかカビ臭いと表現されます)がしますが、パセリやシャクは芳香がしますので区別の手がかりになります。また、ドクニンジンの茎には紫色の斑点があります。シャクとドクニンジンの判別については、北海道立衛生研究所のページも参考にしてください。

 
   
(東京都、6月)
   
(左:自生するドクニンジン、右:茎の斑点  札幌市、5月)

有毒成分

ドクニンジンは全草にピペリジン骨格を持つ有毒なアルカロイドのコニイン(coniine)やγ-コニセイン(γ-coniceine)を含んでいます(2、3)。これらのアルカロイドは、ニコチン様作用を持ち、だ液分泌、散瞳、頻脈などを引き起こします。また、クラーレと同様に神経筋接合部に作用するため、筋弛緩作用があります(4)。

中毒症状

中毒した動物は、筋肉の弛緩、協調運動の失調、震え、ナックリング、だ液分泌過多、チアノーゼ、神経過敏からその後の麻痺、瀕尿などの症状を呈し、重篤な場合は死亡します。また、急性中毒量以下の継続摂取で、新生子に先天性骨格筋異常を誘発します(5)。アメリカでCrooked calf diseaseと呼ばれている奇形には、ルピナスの他にドクニンジンも関与していると指摘されています。

文献

  1. de Boer, J., 1950. The death of Socrates. A historical and experimental study on the actions of coniine and Conium maculatum, Arch. Int. Pharmacodynamie Therapie, 83 :473-490.
  2. 青柳光敏、姉帯正樹.2002.ドクニンジンに関する調査研究(第1報) 札幌市及び石狩市内の分布調査.道衛研所報.52:89-92. 
  3. 青柳光敏、姉帯正樹.2002.ドクニンジンに関する調査研究(第2報) コニイン及びγ-コニセインの定量.道衛研所報.52:93-95.
  4. Vetter, J. 2004. Poison hemlock (Conium maculatum L.). Food Chem. Toxicol. 42: 1373-1382.
  5. Panter, K.E. et al. 1988. Toxicosis in livestock from the hemlocks (Conium and Cicuta spp.) , J. Anim. Sci., 66: 2407-2413.

 

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最終更新日:2010.5.27 (茎の斑点についての記述および札幌市の写真追加)
        2018.2.8
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