ヨウシュヤマゴボウ

学名:Phytolacca americana L.

英名:pokeweed

ヨウシュヤマゴボウは北米原産の帰化植物で、ヤマゴボウ科の多年草です。紅紫色の茎は2mほどになり、初夏から秋にかけて総状花序を作り、紅紫色の果実を付けます。在来種のヤマゴボウ(Phytolacca acinosa)はヨウシュヤマゴボウより小振りで、茎は緑色です。根が太くて地中深くまではいっていてゴボウに似ていることがヤマゴボウの名の由来と言われています。ややこしいことに、アザミの根がヤマゴボウという名で売られています。このため、ヨウシュヤマゴボウの根が食べられるものと勘違いして食べてしまい、中毒になるという事例がときどき起きています。

有毒成分

有毒成分は、トリテルペノイドサポニンであるフィトラカトキシン(phytolaccatoxin、アグリコンはフィトラカゲニン(phytolaccagenin))です。この物質は全草に含まれていますが、根に多く果実には少ないといわれています。また、根には硝酸カリウムが多く含まれています。

ヨウシュヤマゴボウの根茎は、レクチンの一種ポークウィードマイトジェン(pokeweed mitogen (PWM)) も含んでいます。ポークウィードマイトジェンは、リンパ球幼若化活性、赤血球凝集活性などを持っています。

ヤマゴボウ科の他の植物も有毒のようで、南米やオーストラリアでみられるヤマゴボウ科の木本packalacca(Phytolacca dioica)の果実による牛やニワトリの中毒事例や(4)、Phytolacca decandraによる羊の中毒も報告されています(3).

検査法

フィトラカトキシンは薄層クロマトグラフィーで分離、検出できますが(5)、標準物質は市販されていません。

中毒症状

牛では、流産、昏睡、痙攣、下痢、嘔吐などがみられるといわれています。アメリカで行われた給与実験では、2頭の乳牛にヨウシュヤマゴボウ全草をコーンサイレージと混合して給与したところ、嗜好性は極めて悪く、混合したヨウシュヤマゴボウを避けて食べたようです。12時間の間に1頭はヨウシュヤマゴボウ4ポンドを、もう一頭は1ポンドを食べました。4ポンド食べた牛は、下痢、体温低下を示しましたが、牧草に対しては食欲を示し、泌乳量も変化しませんでした。1ポンド食べた牛は、軽い下痢を示しただけでした(2)。

七面鳥の初生雛にヨウシュヤマゴボウの果実を給与した実験では、死亡率の増加、増体量の低下、運動失調、膝関節部の腫脹、腹水の増加などがみられ、死亡した雛の胆嚢は拡張して褐色の液体を貯留していました(1)。

文献

1) Barnet, B.D. 1975. Toxicity of pokeberries (fruit of Phytolacca americana Large) for turkey poults. Poult.Sci. 54: 1215-1217.

2) Kingsbury, J.M. and Hillman, R.B. 1965. Pokeweed (Phytolacca) poisoning in a dairy herd. Cornell Veterinarian 55: 534-538.

3) Peixoto, P.V. et al. 1997. Phytolacca decandra poisoning in sheep in southern Brasil. Vet. Human Toxicol. 39: 302-303.

4) Storie, G.J. et al. 1992. Suspected packalacca (Phytolacca dioica) poisoning of cattle and chickens. Aust. Vet. J. 69: 21-22.

5) Wang, Z. et al. 1990. Quantitative determination of phytolaccatoxin in radix Phytolacceae by TLC-densitometry. Chung Kuo Chun Yao Tsa Chih 15: 533-535. (in Chinese)

 

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最終更新日:2018.2.8
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