学名:Cicuta virosa L.
英名:water hemlock
セリ科ドクゼリ属の多年草で、わが国では北海道から九州の広い範囲に分布しています。ドクゼリ属は北半球の沼沢、川岸などの水辺に生育していますが、わが国に見られるのは本種のみです。6〜8月頃に白い花をつけ、地下茎はタケノコのように節があり、延命竹あるいは万年竹と呼ばれて観賞用に用いられています。
セリと間違えて食べないように注意して下さい。
ドクゼリの若葉をセリと間違えて食べてしまい中毒を起こす事例が数多く発生していますが、セリとドクゼリの見分け方は簡単です。
ドクゼリの茎は中空になっています。また、根茎は外見がイモのようですが、割ってみるとタケノコのように節があります(写真右)。セリには根茎はありません。
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(青森県、5月) ![]()
(左:ドクゼリ、右:セリ 北海道立衛生研究所にて、5月)
有毒成分
ドクゼリの地下茎や根には有毒なシクトキシン(cicutoxin)が含まれています(1)。 シクトキシンはシキミのアニサチンやドクウツギのコリアミルチンと同様に、抑制性の神経伝達物質であるγ-アミノ酪酸(GABA)の作用と拮抗し、中毒を起こします。
検査法
植物および胃内容中のシクトキシンは、GC-MSで分析できます(2,3)
中毒症状
中毒症状としては、旋回、歩様異常、起立不能が認められ、遊泳運動、痙攣、呼吸困難を呈して死に至ります。わが国では、最近馬の中毒事例が報告されています(2)。急性に死亡するので、特徴的な血液生化学所見や病理所見は少ないのですが、筋肉のけいれんなどの影響で、二次的にCK、LDH、ASTなどが上昇します。
文献