Updaeted: 26 May, 2004
WHOからの鳥インフルエンザの情報(2)
- 05 April,2004 Avian influenza A(H7) human infections in Canadaカナダで鳥インフルエンザウイルス(H7)のヒトへの感染
3月13日にカナダのブリティッシュコロンビアの鳥インフルエンザで鶏の淘汰の作業中に1名がウイルスに暴露され、16日に結膜炎と鼻汁の症状を示し、その後H7ウイルス感染と確認された。もう1名の作業員も3月25日に結膜炎を呈し、4月2日にH7ウイルス感染が確認された。
- 22 March,2004 Avian influenza A(H5N1)- update 34: Situation (human) in Viet Nam
まだ確認されていないが、ベトナムで12歳の少年死亡した。これが確認されると、2月20日以降初めての症例になる。
- 17 March,2004 Avian influenza A(H5N1)- update 33: Situation (human) in Thailand
タイで8人目の死者。患者数12人目。
- 09 March,2004 Avian influenza A(H5N1)- update 32: Situation (human) in Thailand
タイで11人目の患者発生。
- 02 March,2004 Avian influenza A(H5N1)- update 31 - Situation (poultry) in Asia: need for a long-term response, comparison with previous outbreaks
アジアにおける鳥インフルエンザの発生状況、長期間の対応の必要と過去の発生との比較
過去の40年の高病原性鳥インフルエンザ発生と比較して今回の発生はあまりにも広範囲であり、過去の先進国での小さな発生でもその収束に数年要したことから、WHOは近々にアジアでの発生を制御できるという見解に注意を促す。
今回の発生の特徴- 庭先養鶏の密度 数カ国の発生の80%は小農家か庭先養鶏であった。中国では飼養羽数132億羽の60%が庭先養鶏である。それらは人や豚を含む家畜と非常に密接した状態で飼われている。このことが野鳥侵入防止、生態を制御する畜舎、すべて来訪者、器具、機材、車両の消毒、昆虫やげっ歯類そして機械的にウイルスを媒介するものとの接触の防止など過去の発生で実施された防疫措置を困難にしている。
- 養鶏の経済的重要性 これらの地域では多くの人々の生計が養鶏に支えられているため、適切な淘汰の実施が困難である。
- 防疫経験の欠如 これらの地域では初めての発生であった。
- 資金の欠如 いくつかの国では十分なインフラがなく農民に対する補償金もないため政府の勧告に従わせることができない。
- 国際的な規模での発生
発生の収束ためには淘汰がFAO、OIE、WHOの勧める第一の行動である。
高病原性鳥インフルエンザの過去の世界の発生(1959-2003)
| 年 |
国/地域 |
感染家きん |
亜型 |
| 1959 |
スコットランド |
鶏 |
H5N1 |
| 1963 |
イングランド |
七面鳥 |
H7N3 |
| 1966 |
オンタリオ(カナダ) |
七面鳥 |
H5N9 |
| 1976 |
ビクトリア(オーストラリア) |
鶏 |
H7N7 |
1979 |
ドイツ |
鶏 |
H7N7 |
| 1979 |
イングランド |
七面鳥 |
H7N7 |
| 1983-1985 |
ペンシルバニア(米国)* |
鶏、七面鳥 |
H5N2 |
| 1983 |
アイルランド |
七面鳥 |
H5N8 |
| 1985 |
ビクトリア(オーストラリア) |
鶏 |
H7N7 |
| 1991 |
イングランド |
七面鳥 |
H5N1 |
| 1992 |
ビクトリア(オーストラリア) |
鶏 |
H7N3 |
| 1994 |
クイーズランド(オーストラリア) |
鶏 |
H7N3 |
| 1994-1995 |
メキシコ* |
鶏 |
H5N2 |
| 1994 |
パキスタン* |
鶏 |
H7N3 |
| 1997 |
ニューサウスウェールズ(オーストラリア) |
鶏 |
H7N4 |
| 1997 |
ホンコン |
鶏 |
H5N1 |
| 1997 |
イタリア |
鶏 |
H5N2 |
| 1999-2000 |
イタリア* |
七面鳥 |
H7N1 |
| 2002 |
ホンコン |
鶏 |
H5N1 |
| 2002 |
チリ |
鶏 |
H7N3 |
| 2003 |
オランダ* |
鶏 |
H7N7 |
*数多くの農場で大発生
Observations form previous outbreaks (1959-2003)
過去の発生からの所見
―1983年のペンシルバニア州の発生では収束まで2年かかった。1700万羽の鳥が淘汰され6200万ドルの直接費用が要った。間接的な費用は2億5千万ドルと推定されている。
―2003年オランダの発生はドイツとベルギーまで拡大した。オランダでは飼養羽数の3分の1に当たる3千万羽が淘汰された。ベルギーでは約270万羽ドイツでは約40万羽がそれぞれ淘汰された。オランダでは89人が感染し、1名の獣医師が死亡した。その発生さいには、養鶏労働者、農民、農場訪問者の健康を守る必要から防護服、マスク、ゴーグルなどを着用する感染予防措置がとられた。また人に流行しているインフルエンザの人用ワクチンの接種と予防的な抗ウイルス剤を服用が行われた。
鳥の密度が高い地域での防圧はより困難である。
―1999‐2000年のイタリアでは25の庭先養鶏を含む413の発生があり1400万羽が淘汰された。鳥の高密度地域では対策は複雑化した。農家への補償として6300万ドルが支払われた。産業全体では6億2千万ドルの損害であった。最後の発生の4ヵ月後にウイルスは弱毒化して再侵入し、さらに52件発生をもたらした。
―1995年メキシコでH5N2による高病原性鳥インフルエンザが発生した。20億ドーズ以上におよぶ様々な効力のワクチン接種などの長年努力にかかわらずこのウイルスは根絶されずに現在でも病原性が弱い形で存続している。同様に、パキスタンで追求されたワクチン接種政策では病原体は根絶されていない。
家きんと野鳥特にカモあるいは水きん類との接触を避けることで家きん類に低病原性のウイルスが侵入するのを防ぐ。現在アジアでの発生と渡り鳥との関連については証拠がないが、
―特に水場を共有する野鳥と放し飼いの家きんとの接触が関連するいくつかの発生事例がある。供給される水の糞便汚染はウイルスを伝達する効率的な方法である。低病原性のウイルスは渡り鳥が集まる湖や池から容易に分離される。
―特に危険なことは池で飼われている少数のアヒルに近接して鶏や七面鳥を飼養することである。アヒルはカモを呼び寄せ、野鳥から家きんへのウイルス伝達の機会を与える。
最初は低病原性であってもH5やH7亜型が侵入した場合は、感染や暴露された家きんの淘汰などの積極的な防疫措置が勧められる。(H5とH7亜型だけが高病原性インフルエンザに関与する。)
―ペンシルバニア、メキシコ、イタリアの発生では、はじめは低病原性のウイルスが感染を繰り返しているうちに6ヶ月から9ヶ月後に致死率100%に達する高病原性ウイルスに変異した。さらに、低病原性のウイルスの存在は高病原性型の疾病の診断を複雑にする。
- 27 Feb,2004 Confirmed Human Cases of Avian Influenza A(H5N1)
タイで10名の患者、うち7名の死者。ベトナムで23名の患者、うち15人の死者。
- 23 Feb,2004 Confirmed Human Cases of Avian Influenza A(H5N1)
タイで9名の患者、うち7名の死者。ベトナムで23名の患者、うち15人の死者。
- 20 Feb,2004 Avian influenza A(H5N1) - update 28
Reports of infection in domestic cats (Thailand) ー飼い猫の感染報告(タイ)
WHOはタイでの1軒の家の飼い猫のH5N1の感染を認識している。現在調査中であり、結論は確認されていない。しかしながら、懸念は大きく、感染ネコと身近に接触するヒトのリスクについていくつかの疑問やネコ集団におけるサーベイランスの必要性があがっている。
本日、飼い猫の3匹のうち2匹がH5N1に感染したとの報告がタイのカセサート大学獣医学部からあった。これらのネコは1軒に飼われていた15匹の一部である。15匹のうち14匹は死亡した。1匹のネコが死んだ鶏との接触があったことを所有者が観察している。
タイの厚生省はネコの事例について調査中であり、接触したヒトの健康をモニタリングしている。FAOは専門技術を供与中である。
成績が調査中なので結論を出すには早いが、ネコのH5N1の感染がヒトの健康リスクを高める確率は高くないと考えられる。また有意な確率でヒトの発生の将来の進展に影響を与えるともみなされない。
いくつかの研究が示しているように、豚、アザラシ、クジラ、ミンク、そしてフェレットなどの哺乳類の一部が自然状態で遺伝的に純粋の鳥のインフルエンザに感染する。これらの種の中で豚だけがヒトの健康に重要である。豚では鳥とヒトの両方のウイルスが増殖するためあいの子ウイルスのできる増殖の場になり、その結果として新しいインフルエンザの亜型が出現する可能性がある。1957年と68年のパンデミックなウイルスの出現には豚が重要な役割を果たしたと多くの専門家の間では意見が一致している。
今まで、自然状態で飼い猫がインフルエンザウイルスに感受性があるとは考えられていなかった。1970年、72年、81年のいくつかの古い研究では、実験室での飼い猫の感染実験が報告されている。感染はするが(呼吸器からウイルスは回収される)、すべてのネコは健康であった。発熱、鼻水、咳、くしゃみなどの症状は観察されなかった。これらの知見は重要で、もしH5N1に他のネコが感染しても、大量のウイルスは排泄されないであろうことを強く示している。
対照的に、H5N1ウイルスは鳥の呼吸器と同様に腸管でも増殖する。現在の発生では、感染鳥の糞中に大量のウイルスが排泄され、環境を広く汚染してしる。この広い環境汚染がヒトの暴露と引き続く感染の最も重要なリスクの一つを作り出している。その確率が低いが、たとえ飼いネコが容易にH5N1に感染するとしても、ネコの感染はH5N1の環境汚染には有意に寄与することはないであろう。
今回の発生に関与している株を含む鳥インフルエンザウイルスは哺乳類に効率的に感染するレセプターを欠いている。しかしながら、ヒトへの感染が今回と過去2回観察されていて、鳥からヒトへの伝達はこのレセプターなしでも起こりうる。しかし、暴露や引き続く感染の機会の広さや多さに較べて、この発生人数は非常に少なく、このことはヒトやネコなどの哺乳動物に鳥からウイルスが伝達するのはごくまれなことであることを示している。
H5N1の飼い猫の感染の報告は通常の事態でなく、歴史的には前例のないことである。タイ当局の調査の結果はこの異常事例に対して決定的なことを明らかにしてくれる。
インフルエンザウイルスは非常に不安定でその行動は予測できない。哺乳動物の疑わしい事例の監視の必要性は高く、継続されるべきである。現在の状況では、疑わしい事例や確定した事例の国当局への獣医師からの報告は継続する監視にとって鍵となる行動である。
密接に関係しているヒトと動物の発生の継続する進展について理解する国際的な努力の一環としてWHOはFAOとOIEは緊密に協力中である。
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