ベルベットグラスの病害


斑点病(hanten-byo) Leaf spot
病原菌:Cochliobolus sativus (Ito et Kuribayashi) Drechs. ex Dastur、子のう菌
 葉に斑点を形成する糸状菌病。病斑は赤褐色から黒褐色、楕円形、大きさは3-7×1-3mmである。病斑の中央部は色が濃く、周縁部は薄いため、外縁はやや不鮮明になる。病斑周囲には黄色のかさを生じ、病斑は融合して葉全体を枯死させる。


縁枯病(fuchigare-byo) Leaf blight
病原菌:Drechslera noblea McKenzie et Matthews、不完全菌
 春から夏にかけて発生する斑点性の糸状菌病。病斑は葉縁に形成されることが多く、褐色、半楕円形で、周縁部はしばしば不鮮明になる。出穂後に発生すると葉の基部が侵されて、葉全体が枯れ、脱落することが多い。病原菌はフェスク縁枯病菌と同種。


角斑病(kakuhan-byo) Stem speckle
病原菌:Pseudoseptoria stomaticola (Baeumler) Sutton、不完全菌
 冷涼地で発生し、採種栽培で問題になる糸状菌病。葉、葉鞘、稈、枝梗に発生し、病斑内部は灰白色、周縁部は褐色の細い縁状となり、長さ1ー2mm程度の角斑となる。病斑は葉脈で区切られ、境界のはっきりした明瞭なものとなる。病斑上に形成される柄子殻内の胞子が風雨で飛散してまん延する。


冠さび病(kansabi-byo) Crown rust
病原菌:Puccinia coronata Corda var. coronata、担子菌
 初め黄色の腫れ物状の病斑であるが、やがて長さ1〜2mm、幅0.5mm程度の楕円形病斑となり、表皮が破れて中から黄色〜オレンジ色の夏胞子が現れる。激発すると、葉身全体が黄色い粉を吹いたように見え、やがて枯死する。黒褐色の冬胞子堆も形成するが、越冬・越夏には夏胞子が重要な役割を果たすと考えられている。病原菌はライグラス菌と同種であるが、寄生性が異なる。


炭疽病(tanso-byo) Anthracnose
病原菌:Colletotrichum graminicola (Cesati) G.W.Wilson、不完全菌
 梅雨明けから発生する斑点性の糸状菌病。病斑は黄褐色〜橙色、楕円形で、後に相互に融合して不定形となる。病斑が古くなると中央部が灰白色になり、そこに剛毛という菌組織が形成され、黒くかびてみえる。剛毛付近にはオレンジ色の粘塊状の胞子が形成され、これが風雨で飛散してまん延する。病原菌はソルガム、オーチャードグラス、ライグラスなどの菌と同種だが、それぞれ寄生性が分化しているとされる。

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