アルサイククローバの病害


モザイク病(mosaic-byo) Mosaic
病原:Bean yellow mosaic virus (BYMV)、Cucumber mosaic virus (CMV)、ウイルス
 自然状態では利用2ー3年目からはほとんどの株が罹病する。病徴は春から現れる が、植物の種類や環境条件によって、黄斑モザイク、緑斑モザイク、退緑斑点、縮葉など様々な病徴となる。ウイルスはアブラムシにより伝播されるが、その種類も様々である。


てんぐ巣病(tengusu-byo) Witches' broom
病原:Phytoplasma (PLO)、ファイトプラズマ
 株を萎縮させるファイトプラズマ病。病徴は、株の中央部から小型の葉が多数発生するようになり、これらの葉は赤褐色になり、あるいは色あせていく。株は次第に叢生状態となり、枯れていく。病原体はヨコバイ類により伝播される。


斑点病(hanten-byo) Summer black stem and leaf spot
病原菌:Cercospora zebrina Passerini、不完全菌
 主に葉と葉柄に発生する斑点性の糸状菌病。葉では葉脈に仕切られた灰褐色の病斑となり、互いに融合して葉を枯らす。葉柄に発生すると紫褐色の条斑となり、被害はさらに大きくなる。病原菌は他のクローバ類も侵すが、寄生性は若干分化しているとされる。


菌核病(kinkaku-byo) Sclerotinia crown rot and root rot
病原菌:Sclerotinia trifoliorum Eriksson、子のう菌
 冷涼多湿地域で発生する、株枯を引き起こす重要な糸状菌病。秋に感染して初め小さな斑点が現れ、やがて葉や茎が黄化、枯死する。積雪下で徐々に進行し、翌年の春の融雪後、気温の上昇と共に一気に茎葉や根が灰白色に腐敗する。枯死した植物の表面には綿毛状の白い菌糸が多量に絡みつき、やがて黒色、不定形、大きさ8ー10mm程度の大型の菌核が形成される。これが秋に発芽して明褐色、かさの直径が3ー8mmのキノコを形成し、ここから胞子が飛んで再び感染が起こる。病原菌の寄主範囲は広く、アルファルファやベッチ類にも感染する。


黒かび病(kurokabi-byo) Black patch
病原菌:Rhizoctonia leguminicola Gough et Elliott、不完全菌
 地上部全体に発生する糸状菌病。葉では黒褐色、不定形の病斑となり、即座に互いに融合しては全体を覆う大型病斑となる。病斑中心部には黒い毛羽だった菌核が形成される。激発すると、黒い菌糸が株全体に伸長し、株枯を引き起こす。病原菌は山羊の流涎症の原因となるスラフラミンというアルカロイドを産生する。


さび病(sabi-byo) Rust
病原菌:Uromyces hybridi Davis、担子菌
 北海道、東北などで発生するさび病。病原菌はサブクローバは侵すが、アカクローバおよびシロクローバは侵さない。


そばかす病(sobakasu-byo) Pepper spot
病原菌:Leptosphaerulina trifolii (Rostrup) Petrak、子のう菌
 冷涼地での発生が多い斑点性の糸状菌病。主に葉に黒褐色、直径1mm程度の小斑を多数形成し、葉全体に黒胡椒を振りかけたような感じになる。病斑周囲は次第に黄化し、ついには葉が枯れ上がる。冷涼多雨時には激発する。古くなった病斑上には黒い小粒(子のう殻)が形成される。病原菌はアルファルファのそばかす病菌とは別種である。


すす点病(susuten-byo) Sooty blotch
病原菌:Cymadothea trifolii (Persoon) Wolf、子のう菌
 冷涼地で発生する葉枯性の糸状菌病。葉の裏側に黒いすす状のかびを生じる。黒い不定形の小病斑が密生するような状態で、葉は初めは緑色を保つが、徐々に黄化する。他のクローバ類でも発生する。

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