【表題】 簡易堆肥器『タヒロン』の利用性

【著者名】 阪本卓馬;井川 育
【所属】 石川県畜産総合センター;石川県石川農林総合事務所
【発行年】 2007
【雑誌名】
【巻】 39
【頁】 8−11
【要約】 大規模な施設を必要とせず、コストも比較的少なく済み、切り返しや撹拌が不要とされている簡易堆肥器「タヒロン」について、堆肥化装置としての一時発酵性能および堆肥の貯蔵性について実証を行った。[材料および方法](試験T:一時発酵試験)白山市松任農業有機物供給センター(SMS)では搬入される乳牛のふん尿をモミガラと混和し、水分含量を約72%に調製後、堆肥処理している。同様に処理した混合物を「タヒロン」に15週間まで封入した。なお、堆積期間中は切り返し等の撹拌処理は行わなかった。「タヒロン」はバック型堆肥化装置で、ネット状にした超強化ポリエステルフィラメント糸を塩化ビニール樹脂でコーティング加工した円筒形をしており、上ぶたはファスナーで全開閉し(底も全開)、リフトでつり下げて移動するためのベルトがついている。耐用年数5年以上と耐久性がある。今回の試験に供した「タヒロン」の容量は500kg、本体寸法は直径1m×高さ1.1m、容積1?、25,500円/1枚(消費税・送料含む)であった。(試験U:堆肥貯蔵試験)試験Tと同様な堆肥素材を野外で貯蔵した。[結果](試験T)一次発酵試験では、「タヒロン区」は堆積開始後の発酵の立ち上がりが良好で堆積2日目に73.5℃を記録した。堆積終了時における堆肥の外観等については、「タヒロン区」はほぼ均一に発酵が進み、汚物感や不快な臭気はほとんど感じられなかったが、有機分解率が22.5%と低く、易分解性有機物が残存する状態であった。(試験U)4ヵ月間の堆積貯蔵で腐敗臭を発生させる等、堆肥の品質劣化を示す状況を呈することはなく、被雨により堆肥のEC、カリが低下することを認めた。[考察]「タヒロン」による堆肥製造について、「タヒロン」は通気性に富む構造により、堆肥化初期において良好な発酵を行う。しかし、15週間の堆積では、安価な(1,785円/1枚(消費税含む))「フレコン」(ネット状ではないが「タヒロン」と形状がほぼ同一)に比べて高い有機物分解率を示したものの、SMSで生産された製品堆肥の有機物分解率38.2%に比べて低い。「タヒロン」に堆肥化原料を積込みしただけでは堆肥を完熟できない。搾乳牛20頭分を処理する場合のイニシャルコストについて計算すると、堆肥舎(128u、切り返し1回/週、通気無し)を整備する場合約450万円。「タヒロン」で90日間処理する場合、約700万円と高価になり、さらに5年の耐用年数もある。これらのことからタヒロンは構築連携を図る上で、「ふん尿処理の手段」というより、「堆肥(ふん尿)利活用の手段」の一助としての役割が期待される。
【要約者】 竹中洋一

[ 2013/12/26 掲載 ]


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