【表題】 家畜ふん堆肥の連用が普通畑作物収量と養分収支並びに土壌化学性に及ぼす影響

【著者名】 森 清文;西 裕之;古江広治;門脇英美;松元 順;渋川 洋;相本涼子;小玉泰生;井上健一;永田茂穂;山下純一;森田重則;後藤 忍
【所属】 鹿児島県農業開発総合センター
【発行年】 2012
【雑誌名】 鹿児島県農業開発総合センター研究報告
【巻】
【頁】 39−48
【要約】 本試験は農林水産省土壌保全対策事業土壌環境基礎調査の一環として1989年に本県に設置された基準点ほ場(有機物連用ほ場)において、鶏ふん堆肥、豚ぷん堆肥、牛ふん堆肥のみを施用した多腐植質厚層黒ボク土畑を各試験区として、1989〜2008年度まで20年間、春夏作で原料用サツマイモを20作、秋冬作で小麦もしくは大麦を20作、合計40作栽培し、原料用サツマイモ、小麦および大麦の生育、収量に対する連良効果と土壌化学性および養分収支の関係について検討した。【材料および方法】試験場所は鹿屋市串良町細山田農総センター大隅支場内ほ場、土壌条件は多腐植質厚層黒ボク土である。[試験区の構成および三要素平均施用量]各家畜ふん堆肥区は化学肥料に対する窒素肥効率を50%として施肥量を決定した。鶏ふん堆肥1.1kg/u、豚ぷん堆肥1.3kg/u、牛ふん堆肥4.5kg/u程度の年間投入量レベルであった。したがって、鶏ふん堆肥区、牛ふん堆肥区のリン酸は化学肥料区の約3倍量、カリは同程度の施肥量であるが、豚ぷん堆肥区のカリは総施用量で化学肥料区を下回った。[供試土壌の化学性]試験開始前の1988年にサトイモが栽培された時点で石灰飽和度80%を目安に炭酸カルシウムを散布したことから、pH(H2O)、石灰含量、塩基飽和度は全ての処理区でほぼ同じレベルであった。【結果と考察】@ 原料用サツマイモの収量、小麦および大麦の精麦重は各家畜ふん堆肥区で化学肥料区に比べ同等以上であった。家畜ふん堆肥の連用効果の面からみると、春夏作の原料用サツマイモでは有意な収量の増加傾向はみられないものの指数で111〜128%増加した。また、豚ぷん堆肥区ではカリ不足によると考えられる収量の減少傾向がみられた。A 秋冬作の麦類では牛ふんの堆肥区で年間収量3%の増加が確認されたものの鶏ふん堆肥区、豚ぷん堆肥区では有意な収量の増加傾向はみられなかった。原料用サツマイモに比べ麦類で収量の増加傾向が小さかったことは麦類の作付は秋冬期で地温が低いため地力窒素の発現が少なかったためと推察された。B 土壌抽出の交換性塩基含量の変化量は各区の投入量と作物の吸収量から算出する塩基収支を反映しており、収支はほぼプラスになるが土壌中の各塩基は減少し、特に石灰は顕著に減少した。これらの原因は降雨による溶脱の影響と考えられ、長期にわたって作物収量の安定的確保、土壌化学性を健全に保つためには、栽培作物と施肥、成分収支に注意し、必要な施肥窒素量を顧慮しつつ、苦土石灰等の土壌改良資材による塩基類の補給についても充分留意する必要がある。
【要約者】 竹中洋一

[ 2013/12/26 掲載 ]


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