【表題】 環境への影響をどのように評価するか −環境負荷ガスについて考えてみよう−

【著者名】 長田 隆
【所属】 北海道農業研究センター畜産草地部
【発行年】 2005
【雑誌名】 北海道家畜管理研究会報
【巻】 40
【頁】 6−10
【要約】 本稿は、”ポスト「家畜排せつ物法」を考える”のテーマの一つとして、環境負荷となることが懸念されつつある発生気体(ガス)について紹介する。最近まで、畜産の悪臭等の気体の定量的な発生実態の把握は限定的なものにすぎなかった。◎アンモニアは悪臭として最も大量に放出される物質で、酸性雨の原因物質としてもの環境負荷もある。欧州では降雨として1ha当たり40kgの窒素が年間降下すると言われ、その主犯である畜産業からのアンモニア揮散の抑制が急務になっている。日本でも降雨により数十kgの窒素が降下しており、欧州並みのアンモニア揮散を否定できない。◎メタンと亜酸化窒素は、その排出が地球温暖化の要因として認識されている。大気中のメタン濃度は1750年以降1060ppb(151%)増加し、亜酸化窒素濃度は1750年以降46ppb(17%)増加した。このため、京都議定書における日本の温室効果ガス発生量6%削減の目標達成のためには、農業系とりわけ畜産系から発生の大きいメタンと亜酸化窒素の削減も重要である。【試験装置】容積13?(直径3m×高さ2.2m)のチャンバーを耐水性床に設置して測定環境とした。チャンバー内の空気は、インバーター制御による送風機により天井中央部から一定流量(常時約130?/h)で吸引する。このチャンバー内で1?程度の排泄物処理(堆肥化、乾燥や汚水浄化処理を想定)を行い、導入外気(吸気)と排気との各種ガス濃度を連続測定し、その差異と換気量との積で揮散物質の発生量を産出した。搾乳牛ふん、肥育牛ふん、豚ふん、鶏ふんに含水率調整のためのオガクズ(搾乳牛のみ麦わら)を混合して堆肥化の原料とした。この混合物(重量約300〜1230 kg)をチャンバー内に堆積し、定期的に切り返し、堆肥化開始から終了までの数ヵ月を検討した。【結果】家畜ふんの堆積堆肥化過程での環境負荷ガス発生は、畜種間で大きく異なる事が分かった。アンモニアの揮散に関しては、これまでの知見を支持され、鶏ふんや豚ふんで発生が顕著であった。メタンの発生が堆積物の含水率が極めて高い状況の搾乳牛ふんで顕著であることも、これまでの小型試験から想定通りであった。しかし、亜酸化窒素については鶏ふん堆肥化過程でほとんど発生が無く、豚ふんや肥育牛ふんの堆肥化で発生が顕著であるなど、畜種間での差異が新たに観測された。また、搾乳牛ふんと豚ふんの亜酸化窒素発生の結果から、条件によって発生率が大きく変わる事も観察された。今後、測定事例を積み重ねて発生抑制を目指し、変動の要因の検討を急ぐ必要がある。
【要約者】 竹中洋一

[ 2013/12/26 掲載 ]


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