【表題】 放牧システム導入による対応の実践

【著者名】 向 浩実
【所属】 酪農家
【発行年】 2005
【雑誌名】 北海道家畜管理研究会報
【巻】 40
【頁】 11−16
【要約】 【経営の概況】現在の飼養頭数は120頭(成牛70頭、育成牛50頭)。搾乳牛は内60頭で、管理は家族労働ですべてをまかなっている。牛舎システムは繋留対尻式。搾乳牛60頭の内20頭は、夏季は昼夜24時間放牧で、搾乳時間以外は放牧地に放している。育成牛、乾乳牛については一部フリーストール、ルースバーン等を利用している。【ふん尿処理への取組み】現在地、長沼町マオイ丘陵地帯は傾斜地が多いためか開拓の歴史は浅い。略奪農法とでもいうのであろうか、肥料もやらずに雑穀をとって畑を使い捨てにしていた土地であった。必然的に有機質=完熟堆肥の投入が必須になった。尿処理については現在4つの尿溜を確保しており、すべてに曝気装置を備えている。曝気装置はタイマー制御で、1日2回各1時間、通年で運転している。1番、2番草採草後、草地に散布する。尿の全量を草地へ還元利用することで、結果的に化学肥料の減量になっている。草地に使う肥料の投入量は、春先の元肥30kgのみである。40kg入れると草が倒れてしまうので、2番草には追肥は行わない。ふんについては、畑作地帯のために豊富に入手できる麦ワラを利用して水分を調整し、重機による切り返しを年に数回行い、2年かけ完熟堆肥にしてから飼料作物に還元している。【放牧への取組み】土づくりのためには、完熟堆肥やばっ気した尿を畑に投入することが必要になる。しかし牧場経営の中で、家畜の管理および圃場管理と並行してこれを行っていくことは、時間的にも労力的にもかなり厳しい。増頭により管理が複雑化していく中で、何とか省力化できる方法はないかと思案していたところ、15年程前に集約放牧の事を知り、これが経営の中で有効に活用できると考えて取組んできた。放牧を行ってきたことで、ふん尿処理に対する考えが変わってきた。ふん尿処理として放牧を見た場合、既に出来上がった放牧地は、巨大な発酵施設である。通常であれば、未熟なふん尿を草地に撒くと、草が枯れ、牛が硝酸中毒で倒れてしまうことにもなる。一方、微生物が活性化した放牧地では、仮に生の原ふん尿を散布しても、すぐに草は再生し、牛も3週間後にはその草を喜んで食べる状況が見られる。土がふん尿処理をし、そこで養分を吸収した草が再生され給餌、家畜からの排泄物は又土に返りループラインとなっている。しかし、一足飛びに草地がそのような状態になるわけではない。放牧地の管理としては、まず、「農地の絶食」から始めた。化学肥料の多給、農薬を使って管理の簡素化を図った農地は、土が満腹で悲鳴を上げている状態である。一度、腹の中を空にして、その後に有機資材の投入が必要不可欠となる。
【要約者】 竹中洋一

[ 2013/12/26 掲載 ]


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