【表題】 植物病原菌に対する拮抗微生物の堆肥からの分離

【著者名】 関上直幸;高橋朋子
【所属】 群馬県畜産試験場
【発行年】 2011
【雑誌名】 群馬県畜産試験場研究報告
【巻】 18
【頁】 65−70
【要約】 難防除土壌病害であるホウレンソウ萎凋病菌、トマト萎凋病菌及びキャベツバーティシリウム萎凋病菌(Verticillium longisporum及びVerticillium dahliae)の生育に拮抗作用を示す菌の存在について、36種類の堆肥を検索し、強い拮抗作用を示す菌を分離した。【材料】[供試堆肥]群馬県内から肥料成分分析用として、JA全農群馬土壌診断センターに依頼のあった36種の堆肥(牛ふん堆肥:20、豚ぷん堆肥:6、鶏ふん堆肥:2、その他(食品残さ等):8)を用いた。【結果】[1.拮抗菌の分離]36種類の堆肥から拮抗菌の分離の結果、ホウレンソウ萎凋病菌SF-2に対する拮抗菌は8種類の堆肥から30菌株、トマト萎凋病菌Fo318の拮抗菌は3種の堆肥から6菌株が分離された。キャベツバーティシリウム萎凋病菌(V. longisporum)CA-9及び(V. dahliae)CA-26の拮抗菌は、共に11種の堆肥から26菌株が分離された。堆肥の種別による違いでは、ホウレンソウ萎凋病菌SF-2とトマト萎凋病菌Fo318に対する拮抗菌は、牛ふん、豚ぷん、鶏ふん堆肥全てから分離されたが、「その他」の堆肥からは分離されなかった。一方、Verticillium菌に対する拮抗菌は、畜ふん堆肥の他に「その他」の堆肥からも分離された。[2.拮抗菌の病原菌抑制の検定]Fusarium菌及びVerticillium菌と拮抗菌の対峙培養を行い、阻止帯の形成状況により5段階に指数表示した。Verticillium菌に対しては、拮抗指数が3以上の非常に強い作用を示す菌が多かったが、Fusarium菌に対しては拮抗指数が1〜2とやや作用が劣っていた。トマト萎凋病菌Fo318に対する6株の拮抗菌は、対峙培養7日目では、同程度の拮抗作用を示していたが、11日目になるとFusarium菌の生長に差が現れ始め、拮抗作用の強弱が認められた。ホウレンソウ萎凋病菌SF-2に対する拮抗菌は、トマト萎凋病菌Fo318と同様に、対峙培養7日目では充分な拮抗作用を示したが、それ以降は効果に差が現れ始めた。キャベツバーティシリウム萎凋病菌CA-9及びCA-26に対する拮抗菌は、作用が弱い菌も見受けられたが、全般的にFusarium菌に対するよりも強い拮抗作用を示した。【考察】分離した拮抗微生物は病原菌との対峙培養において、ホウレンソウ萎凋病菌、トマト萎凋病菌及びキャベツバーティシリウム萎凋病菌に対しては、拮抗微生物が生成する何らかの物質により阻止帯を形成し、病原菌の生育を抑制したと考えられる。
【要約者】 竹中洋一

[ 2013/12/26 掲載 ]


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