【表題】 尿汚水浄化処理施設における水質管理のための簡易測定法の選出及び利用法

【著者名】 鈴木睦美
【所属】 群馬県中部農業事務所家畜保健衛生課
【発行年】 2011
【雑誌名】 群馬県畜産試験場研究報告
【巻】 18
【頁】 71−82
【要約】 農家の浄化処理施設における処理水等(以下、処理水等)について、簡易水質測定器材の測定精度を調査する共に、これによる測定値を利用した簡易維持管理マニュアルの作成を行った。【材料及び方法】@供試飼料は、平成21年度及び22年度に県内畜産農家における浄化処理施設の処理水等を採取し、使用した。A供試器材はH、K、KC、M、N、QF、S及びTの企業が製造販売あるいは輸入販売している器材を使用した。各測定項目において供試器材の測定値を精密分析による値と比較し、寄与率を求め測定精度を調査した。B精密分析による水素イオン濃度と各窒素濃度の関係、水素イオン濃度と<アンモニア性窒素−(亜硝酸性窒素+硝酸性窒素)> の関係について解析を行った。【結果及び考察】@処理水等の水素イオン濃度および硝酸性窒素は、簡易電極法Hの測定精度が最も高かった。Aアンモニア性窒素では吸引比色法KC、亜硝性態窒素では吸引比色法Sの測定精度が最も高かった。無機性燐では試験紙法Mの測定精度が最も良かった。なお、燐については、適正管理だけでは規制基準の遵守は難しく、高度処理技術を導入するなどの除去対策が必要となる。Bアンモニア性窒素と亜硝酸性及び硝酸性窒素がバランスよく存在する中性附近での管理が適切であるとされているが、処理水等の水素イオン農度が6.0〜8.0の範囲であっても、アンモニア性窒素と亜硝酸性窒素及び硝酸性窒素が同時に多量に存在する場合があり、測定精度の高い簡易測定器材で各無機性窒素を測定することで、より的確な判断が可能となった。C[簡易維持マニュアル]今回の調査結果から、硝酸性窒素等及び全窒素の暫定基準の改正に対応するために、簡易水質測定器材を用いた、簡易維持管理マニュアルの考え方を次に示す。1)先ず、水質管理の指標になる水素イオン濃度を測定する。2)次に水素イオン濃度の測定結果だけでは的確な判断ができない場合があるので、各無機性窒素濃度等の測定を実施する。3)各無機性窒素の濃度から適正な対策を講じる。例えば、アンモニア性窒素濃度が高い場合には、BODやSSの除去も充分でないことがあるので、負荷量を低下させる、曝気量を増加させる、汚泥濃度を適正にする等の対策が、また、亜硝酸性・硝酸性窒素濃度が高い場合にはpHが低下し易くなるので、曝気量を減少させる等、状況に即した対策が示される。D以上の結果から、水素イオン濃度及び各無機性窒素等を精度の高い簡易測定器材で測定し、作成した簡易維持管理マニュアルを利用することで、尿汚水処理施設の維持管理をより的確に行うことが可能になると考えられる。
【要約者】 竹中洋一

[ 2013/12/26 掲載 ]


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