【表題】 放牧草地における乳用育成牛排泄量の肥料的評価に関する研究

【著者名】 袴田共之
【所属】 北海道立根釧農業試験場
【発行年】 1986
【雑誌名】 北海道立農業試験場報告
【巻】 55
【頁】 1−88
【要約】 本研究は、放牧草地の養分循環系の特徴的現象を解明して数理モデルを構築し、その系における放牧牛排泄物の肥料的役割を明らかにし、もって放牧草地の合理的施肥法を確立するための基礎的知見を得ようとしたものである。[1.放牧草地の養分循環の調査]1)放牧による施肥試験の結果、NPK施用によって牧草生産、家畜生産の両面から生産性の向上が認められた。2)窒素、リン、カリウムの循環について、循環量(=年間に生産された牧草に吸収される養分量)に対して、牛の増体に伴う搬出量は、窒素:14〜16%、リン:3.5〜4%,カリウム12〜14%であり、排泄物による還元率は窒素:46〜53、リン58〜65%、カリウム47〜55%であた。[2.排泄物の分散パターンのモデルと適用条件][3.片寄った排泄物分散についてのポアソンモデル][4.牛尿又は化学肥料添加土壌における養分の動態]尿添加の有無、アニオンの種類(ClとSO4)、牧草の有無を組み合わせたライシメーター実験により、土壌溶液中のイオンの変動を5cm毎の5層につき経時的に調査した。1)土壌中のClの下方移動はSO4に比べ速やかであり、NO3は遅れて増加を示し、その後下方へ移動した。2)アニオン濃度と対応する置換性カチオンとを説明変数とする重回帰分析における寄与率は、目的変数が1価カチオンの場合は約90%、2価カチオンの場合はCaが約60%、Mgが約45%であった。[5.排泄ふんからの養分の放出と土壌への移行]ふんから放出された養分について、ふん直下の表層で硝酸態窒素が一時期増加し、30〜40日以降、表層において2.5%酢酸可溶性リンがやや増加した。カリウムの増加として検出され、比較的下層まで移行した。[6.排泄物の斑点状還元が牧草に及ぼす影響][7.斑点状に還元された排泄物の効果の持続性]1)ふんのN含有率に対する効果は明瞭ではなかったが、牧草K含有率に鋭敏に影響し、効果が大きかった。Ca含有率に対する効果はKの効果が減衰してから現れた。PとMg含有率に対しては比較的大きな効果が長く持続した。2)尿の肥料効果について、NとP含有率に対する効果はあまり大きなものではなかったが、K含有率に対しては極めて大きな効果を示し、その持続期間は従来知られている以上に長期間(3年間)に渡っていた。CaとMg含有率に対する効果は、K含有率に対する効果と拮抗して現れた。収量に関しては尿施与区のクローバーが増収した。[8.牧草地の乾物生産およびカリウム循環のダイナミックモデル][9.シミュレーションによる排泄物の肥料的評価]
【要約者】 竹中洋一

[ 2013/12/26 掲載 ]


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