【表題】 泌乳牛のアミノ酸栄養改善による窒素排泄量低減に関する研究

【著者名】 扇 勉
【所属】 北海道立畜産農業試験場
【発行年】 2004
【雑誌名】 北海道立農業試験場報告
【巻】 105
【頁】 1−40
【要約】 @ 近年、乳量の増加と酪農経営の規模拡大に伴い、環境汚染が増大している。そこで、A 第U章では牧草サイレージ主体使用における泌乳牛のふん尿量および窒素排泄量と飼料摂取量との関係を解析した。摂取窒素量に対するふん尿窒素量の割合は初産牛が55.0%、2産以上の牛が55.9%であった。ふん量はNDF摂取量と正の相関(r=0.58)、ふん窒素量はCP摂取量との正の相関(r=0.77)、尿量および尿窒素量はTDN / CP比と負の相関(各々r=−0.58、−0.65)がみられた(いずれもP<0.001)。また、尿量は尿窒素量と正の相関(r=0.78、P<0.001)がみられ、飼料中のTDN / CP比を適正に保つことにより、尿窒素量の減少ばかりではなく、尿量も減少することを明らかにした。窒素排泄量を低下させ、体内への窒素吸収量を高めるには、給与飼料中のTDN / CP比以外にもRDP(ルーメン内で微生物によりペプチド、アミノ酸およびアンモニアに分解される分解性タンパク質)とRUP(ルーメン内で分解されない非分解性タンパク質)の割合およびRUPのアミノ酸組成を検討する必要がある。B 第V章-1の泌乳初期牛へのルーメン保護アミノ酸製剤添加試験では、牧草サイレージ主体の混合飼料給与において、ルーメン保護メチオニン(RPM)およびルーメン保護リジンの添加が乳生産および血液成分に及ぼす影響を検討した。牧草サイレージ主体飼養では、RPM添加により、乳合成において制限アミノ酸とされるメチオニンが補給され、乳タンパク質が高まるものと考えられる。C 第V章-2の泌乳初期牛への魚粉給与試験では、牧草サイレージ主体飼養において、魚粉給与が乳量、乳成分および血液成分び及ぼす影響を検討した結果、制限アミノ酸と推察されるメチオニンおよびリジンが効率的に補給され、乳タンパク質生産が高まった。D 第W章では牧草サイレージ主体飼養において、給与飼料中CP含量を低く設定し魚粉を給与することにより、乳生産を低下させずに、窒素排泄量を低減し得る可能性について検討した。魚粉などの添加により乳合成の制限アミノ酸となるメチオニンおよびリジンを効率的に補給することにより、飼料中CP含量を低く設定しても乳生産を低下させずに、尿窒素量低減が可能と考えられる。E これらから、飼料中のTDN / CP比を適正に保つことにより、尿窒素量ばかりでなく尿量も減少することが示唆され、同時に乳中および血中の尿素窒素濃度は、尿窒素量低減の指標として有用であることが示された。
【要約者】 竹中洋一

[ 2013/12/26 掲載 ]


[ 文献リスト ] のページ に戻る