【表題】 北海道の有機性廃棄物の性状と科学成分

【著者名】 兼田裕光;鎌田賢一;目黒孝司;土岐和夫;水野直治:南 松雄
【所属】 北海道立中央農業試験場
【発行年】 1980
【雑誌名】 北海道立農業試験場資料
【巻】 11
【頁】 1−49
【要約】 稲わら堆肥、馬ふんきゅう肥、牛ふんきゅう肥、豚ぷんきゅう肥、鶏ふん、バーク堆肥、し尿汚泥、牛ふん+バーク堆肥、下水汚泥+バーク堆肥等112点を道内各地から採取し、それらの肥料成分および重金属微量有害成分元素の分析を行った。その分析結果、各種堆きゅう肥の化学的成分はその原材料に含まれる成分による影響がかなり大きいことが明らかになった。一例を挙げると、沼沢植物であり、イネ科植物であるものは畑作物に比較して石灰、苦土などの含有率が比較的低いのが特徴であるが、この傾向は稲わら堆肥にも反映している。また、窒素やリン酸などの多量要素は、作物体含量の変動があまりないものでも、堆きゅう肥の段階になってから、かなり大きな変動係数を示すことは、堆きゅう肥の製造、堆積管理によって影響を受けたものであろうと思われる。牛ふんや馬ふんなどのように古くから自給肥料として農業に使用されてきたものを農耕地へ還元した場合に土壌に供給される重金属量と作物に吸収される量はほぼ等しい。これに対し、亜鉛や銅などの重金属含量の高いし尿汚泥や下水汚泥の場合は、草食動物によるきゅう肥等のほぼ10倍量に達する。もし、これらを乾物として1t(生で5t)を10年間連用すると、亜鉛負荷量は67 ppmで、北海道における農用地土壌の平均濃度とほぼ等しい量の投入に、Cuも土壌の平均濃度(30 ppm)の約50%量の増大となる。北海道の下水汚泥生産量の約半分を占める札幌市の汚泥は、地質的条件の関係から、ヒ素濃度が極めて高く、他の都市のほぼ10倍値になる。農地施用上これらについて充分注意する必要がある。一方、し尿汚泥は下水汚泥に比較して、窒素やリン酸濃度が3〜5倍高いことから、農産物への施用限界量は少ない値となる。豚ふんでは重金属の濃度がし尿汚泥に類似した値を示すことは注目に値する。おそらく、これは雑食性の影響が現れたものと思われる。バーク堆肥は稲わら堆肥や草食動物のきゅう肥よりもやや高い重金属濃度を示すが、腐熟度以外は農業利用上の問題点は少ない。今後、都市下水汚泥の排出量はますます増大し、かつその質も多様化するので、この農業利用に当たっては重金属の濃度、高石灰、高pHなど従来の堆きゅう肥と異なった障害的な因子について、充分注意する必要があろう。この様に有機性廃棄物はその種類によって肥料成分および重金属含量、分解の遅速、Nの無機化に関する特性などが異なり、土壌に及ぼす影響も当然異なるので、廃棄物についてこれらの点を明らかにすると共に、農業利用上の問題点を摘出することが、これら有機物資材の正当な評価のために必要である。
【要約者】 竹中洋一

[ 2013/12/26 掲載 ]


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