【表題】 乾燥鶏ふんと街路樹剪定枝堆肥を原料とする発酵堆肥のPCR-DGGE法による微生物群集構造解析(短報)

【著者名】 竹下美保子;福原絵里子;荒木雅登;尾上 武;小山 太
【所属】 福岡県農業総合試験場
【発行年】 2013
【雑誌名】 福岡県農業総合試験場研究報告
【巻】 32
【頁】 48−51
【要約】 著者らは、化学肥料の代替として県内に多量に発生する未利用の街路樹剪定枝をチップ化し堆肥化したもの(以下、剪定枝堆肥)を乾燥鶏ふんと混合し、再度発酵させて有機質肥料(以下、発酵肥料)を生産する技術を開発している。このような発酵肥料を調製する際に多種多様な微生物の動態を明らかにすることは有機質肥料の発酵状態の把握や品質管理上重要である。環境中の微生物群集構造の実態を短時間で簡易に明らかにする手法として、変性濃度勾配ゲル電気泳動(以下、DGGE法)が開発された(1993)。この手法は微生物群集の解析に培養を要しない方法であり、培養不可能な微生物を含め、堆肥中の微生物群集を比較的短時間で視覚的に解析することが可能である。本研究では化学肥料の代替となり得る発酵堆肥の安定的な生産に役立てるため、剪定枝堆肥と乾燥鶏ふんを混合後、発酵肥料となるまでの過程において、DGGE法を利用した微生物群集構造の変化を細菌叢と糸状菌叢の解析を中心に調査した。【材料および方法】乾燥鶏ふんとと4ヵ月屋外堆積した街路樹剪定枝堆肥を200kgずつ当量混合し発酵させた。開始から5週間は1週間毎に切り返し、それ以降は9週目に切り返し、13週まで堆積した。切り返し時に約500g採材し、-40℃で凍結保存し、解凍後、DNAを抽出し、細菌の16S rDNAのPCR増幅に供試した。その後、DGGE法により解析された塩基配列はDNAデータベース上で相同性検索を行い、近縁種の決定を行った。【結果】DGGEゲルのバンドは開始時は明瞭な9本、発酵1週間後は主要な13本が確認された。この中でバンドAは発酵開始時には検出されたが、発酵が進むにつれて消失し、バンドBおよびCは発酵期間を通して検出された。一方、バンドD〜Gは、発酵2週および3週目から顕著に検出され、特にDは発酵が進むと共に明瞭となる傾向を認めた。以上のように、細菌16S rDNAのDGGE解析の結果得られるバンドは、発酵ステージにより異なっており、DGGにより細菌叢の変遷が確認できることが明らかとなった。バンドAがAtopostipos suicloacalisと99%の相同性を確認し、DはNocardiopsis nikkonensisと98%の相同性を認めた。発酵期間を通して見られるBのバンドはStaphylococcus nepalensisと99%の相同性を確認し、CのバンドはBacillus属の一種であることを確認した。細菌叢と同様に糸状菌叢についてもDGGE法により、11本の明瞭なバンドが認められたが、バンドパターンに大きな差異は認めらず、DDGEによる明確な変遷は認められなかった。
【要約者】 竹中洋一

[ 2013/12/26 掲載 ]


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