【表題】 家畜糞堆肥調整時の臭気対策および堆肥の新規機能性に関する研究

【著者名】 小山 太
【所属】 福岡県農業総合試験場
【発行年】 2012
【雑誌名】 福岡県農業総合試験場特別報告
【巻】 38
【頁】 1−68
【要約】 本研究では家畜糞の堆肥化に伴う臭気発生実態を明らかにすると共に特定臭気物質に対する脱臭法を検討した。さらに、堆肥化微生物が有する有機物分解能に着目し、残留性の高い塩素系農薬の低減を試み、環境修復資材としての能力を評価した。@ 豚ふん尿堆肥化施設における複合臭の発生状況を把握するため、ガスクロ質量分析計を用いて分析した。その結果、豚ふん尿にはトリメチルアミン、メチルメルカプタン、低級脂肪酸が大量に含まれており、これにスカトールやクレゾールなどの芳香族物質が加わることで強いニオイを形成していることが示された。特にふん尿混合物は尿が混入していないふんに比べて臭気物含量が高く、豚舎内での分離処理の必要性が強く示唆された。豚ふん尿の臭気物質濃度は製品堆肥と混合することで大幅に低下し、さらに堆肥化することで速やかに低減された。A 堆肥化過程で増殖し、アンモニア低減能力が高いとされるBacillus sp. TAT105株を添加して豚ふん尿を堆肥化し、その過程で発生するアンモニアの抑制効果を検討した。その結果、豚ふん尿1kgに同株を3.5×1012CFU相当混合することで、豚ふん尿の堆肥化時に発生するアンモニアを40〜60%低減できることが明らかになった。B さらに高濃度のアンモニアが発生する鶏ふんに対してはスギ樹皮のアンモニア吸着能に着目し、堆肥化過程の表層に被覆する脱臭法を検討した。その結果、1kgの鶏ふんにスギ樹皮を74g被覆した条件下で、揮発するアンモニア15.3mg/gを吸着した。アンモニア吸着後のスギ樹皮内においては、水溶性窒素が22%、イオン交換性窒素が23%、有機態窒素47%であり、高い陽イオン交換能に伴うイオン結合だけでなく、共有結合よる除去も示唆された。スギ樹皮は鶏ふんの表面を被覆するだけでアンモニアの発生を抑制できることから、安価で簡便な臭気対策資材としての活用が期待される。C 家畜ふん堆肥は有機物分解能力の多様な微生物叢を形成しているため、残留性の高い塩素系農薬に汚染された土壌の浄化資材としての活用も期待できる。そこで、塩素系農薬の牛ふん堆肥化過程での分解を明らかにするために、牛ふんにディルドリン、エンドリン、ヘプタクロルを添加した不織布で包装し、同様の牛ふんを充填した小型堆肥化試験装置内に埋設して堆肥化を試みた。不織布内の牛ふんは小型試験装置内の牛ふんと同等の堆肥化が進行したことが確認された。埋設した塩素系農薬は10日間の堆肥化処理によってディルドリン、エンドリン、ヘプタクロルがそれぞれ38%、49%、65%減少した。塩素系農薬の減少は堆肥化に関与する微生物による分解であると推察された。
【要約者】 竹中洋一

[ 2013/12/26 掲載 ]


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