【表題】 メタン発酵消化液の飼料イネ利用技術の確立

【著者名】 木下 強;長峰孝文;阿久津 充;福島正人;田澤倫子
【所属】 栃木県畜産酪農研究センター
【発行年】 2012
【雑誌名】 栃木県畜産酪農研究センター研究報告
【巻】
【頁】 45−54
【要約】 メタン発酵消化液の利用促進を図るため、実用規模での水田への液肥利用技術の開発・普及を行うことを目的として二年間の試験を実施した。(財)畜産環境整備機構畜産環境技術研究所が製作した消化液の水口施用装置を用い、用水と混合した消化液を流し込む方法で、実規模水田の飼料イネの栽培試験を行い、消化液施用が飼料イネの収穫や調製サイレージの品質に及ぼす影響、並びに慣行栽培法に対する生産コストや作業軽減効果を明らかにした。【材料および方法】[T.一年目]@ 栃木県大田原市内における全長110mの水田41.2aを、試験区(消化液区)30.2a、対照区(化成肥料区)8.1a、無窒素区2.3aに区切り、飼料イネを栽培した。なお、試験の前作は畑作物である。A 栃木県畜産酪農研究センターのメタン発酵プラントで生産された消化液を散布装置で用水と混合し、水口から施用した。メタン発酵プラントの投入原料は乳牛ふんと食品残渣である。B 栃木県の食用米の施肥基準の窒素に対し2〜3倍の投入量とした。対照区の施肥基準を基準として、試験区は基肥、追肥とも消化液中のアンモニア態窒素を施肥設計上の窒素とし、不足する肥料成分は化学肥料で補正した。無窒素区は、窒素以外の成分が施肥設計値となるよう化学肥料で補正した。[U.二年目]@ 試験圃場は一年目と同様。一年目の試験で用いた品種リーフスターを各試験区の中央部12条のみに稚苗移植した。その他に、同じく飼料用米品種のモミロマンを稚苗移植した。B 一年目の試験の土壌分析の結果、試験以前の施用による過剰なリンの蓄積が見られたため、リンは無施肥とした。カリの過剰施用により、牛の健康への悪影響が懸念されたため、消化液施用区のカリの施用量を標準の3倍にまで制限した。【結果および考察】@ メタン発酵残渣である消化液は飼料イネ栽培における化学肥料の代替肥料として利用可能であり、生産資材費の削減につながる。A 消化液を水口から用水と混合して施用することにより、水田に入ることなく省力的な施肥が可能であるが、施用前に落水できる水田であることが前提条件である。B 消化液の水口施肥を行う場合、水口から水尻の距離が長い水田において水尻付近で収量の低下が見られる場合は水口の増設で改善が可能である。C 消化液で栽培した飼料イネのカリウムや硝酸態窒素含量は、化学肥料を用いた慣行栽培法と同程度であり、施用量が適正であれば、家畜の給与上問題となる水準からははるかに低い値である。D 消化液で栽培した飼料イネから調整したサイレージは発酵品質、栄養価とも化学肥料を用いた慣行栽培と遜色なく良質なサイレージ調製が可能である。
【要約者】 竹中洋一

[ 2013/12/26 掲載 ]


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