【表題】 キノコ廃菌床堆肥を利用した乳牛ふん堆肥化および堆肥化時のアンモニア低減

【著者名】 坂井隆宏;脇谷裕一郎;岩永致悦
【所属】 佐賀県畜産試験場
【発行年】 2004
【雑誌名】 佐賀県畜産試験場試験研究成績書
【巻】 40
【頁】 69−73
【要約】 キノコ廃菌床の畜産分野での利用は一部見られているが、乳牛ふん堆肥化時の副資材として利用し、堆肥化時の臭気に与える影響まで詳細に検討した事例はない。そこで、排出された廃菌床堆肥を堆肥化時の副資材として乳牛ふんの堆肥化を行い、アンモニア発生量の低減および乳牛ふん堆肥化副資材としての利用を検討した。【材料および方法】[試験区分]試験区として次の二試験区を設定した。・オガクズ区:乳牛ふん(水分85.1%、窒素2.65%)4.0kgにオガクズ(水分14.7%)1.6kgを混合して堆肥化 ・キノコ廃菌床堆肥区(KHT区):乳牛ふん4.0kgにキノコ廃菌床堆肥(KHT)1.6kgを混合して堆肥化[供試材料]乳牛ふんは当場フリーストール乳牛舎の通路より採取した。KHTは水分29.8%のものを乾燥させてから供試した(水分12.9%、窒素1.87%)。[堆肥化方法]乳牛ふんとKHTおよびオガクズの混合物をそれぞれ小型堆肥化実験装置(かぐやひめ)に充填し、室温で600mL/分で通気し、28日間堆肥化を行った。7、14、21日目に切り返しを行った。【結果および考察】@ 堆肥化開始時の容積重は対照区が低く、容積重の改善能はオガクズよりもKHTが劣っていた。A 堆肥温度はオガクズ区がすみやかに上昇・降下したのに対し、KHT区はゆるやかに変化する傾向が見られた。B 最高温度ではオガクズ区が上回ったが、積算温度ではKHT区が上回り、最高温度についても大きな差は見られなかったことや、粗灰分の上昇によって有機物が順調に分解されたことが示唆されたことから、KHT混合によって堆肥の温度上昇に悪影響を与えることはないと考えられる。C アンモニア発生量はKHTの混合によって著しく抑制され、アンモニアの総揮散量はKHT区はオガクズ区の40%以下であった。D 堆肥のpHはオガクズ区よりもKHT区が低く推移した。アンモニアは酸性条件下では揮発しにくいため、このpHの低下がKHT区のアンモニア揮散量が低下した原因だと考えられる。E 堆肥の肥料成分はKHTの成分が反映し、KHT区が高い肥料成分の含有量を示した。F コマツナ種子を用いた発芽試験において有意差はなく、KHT混合によって作物が悪影響を受けることはないものと考えられる。G 以上の結果から、KHTを乳牛ふん堆肥化時の副資材として用いることによって、堆肥温度に悪影響を与えることなくアンモニア揮散が低減され、肥料成分に富んだ乳牛ふん堆肥を生産できることが示唆された。
【要約者】 竹中洋一

[ 2013/12/26 掲載 ]


[ 文献リスト ] のページ に戻る