【表題】 汚水処理水を利用した土壌施肥技術の確立(第1報)−汚水処理水および有機培地を利用した土壌散布施肥試験−

【著者名】 脇谷裕一郎;田中宗浩;川岸岳志;坂井隆宏;式町秀明
【所属】 佐賀県畜産試験場;佐賀大学農学部
【発行年】 2005
【雑誌名】 佐賀県畜産試験場試験研究成績書
【巻】 41
【頁】 108−111
【要約】 水路形式の水質高次処理システムの開発を目的として、バークを使用した高設栽培装置を利用した、オクラ、トマト、ピーマン、キュウリの栽培試験を行い、土壌散布に最適な品種選定試験を行った。【材料および方法】@ 豚尿汚水浄化処理施設に附帯する丸形ハウス(5m×9m)に設置された高設栽培装置は4列の角形雨どいに、有機系培地であるバークを充填した。A ポンプにより給液タンク(90L)から吸い上げられた処理水は散水チューブを用いて給液を行った。また、給液量を調整するためにポンプにタイマーを取付、培地を絞っても水滴が垂れない程度に給液時間を調整した。B 各作物とも5月6日に播種し、6月16日まで育苗を行い、各作物とも9株ずつ定植した。C 試験は元肥として豚ふん堆肥を施肥した。堆肥の施肥量は窒素を基準に各作物の施肥基準の1/2(1142.9g)とし、追肥として豚尿処理水を供試した。処理水の給液速度は3,250〜3,700ml/分となった。【結果および考察】@ 総給液量(L)はキュウリ(418.5)>トマト(386.6)≫オクラ(186.6)>ピーマン(132.5)の順となり、キュウリ、トマトがオクラ、ピーマンの2倍近くなった。植物体の草丈に比例したものと考えられる。A 供試した処理水の水質分析結果は、夏場により微生物の活性が高く、分解処理が安定した結果、平均でBODが10.7mg/L、CODが45.9mg/L、全リンが43.4mg/L、アンモニア態窒素が1.4mg/Lと共に低く推移し、pH(7.8)EC(1.4mS/cm)もそれぞれ安定していた。全窒素は硝酸態窒素の変動により若干変動したが、アンモニア態窒素に比べ硝酸態窒素が高いという処理水の特性が確認された。B 各作物共に生育が認められたが、栽培途中からSPADの減少傾向が見られ、早く茎が軟弱化した。特にトマト、ピーマンでは、測定開始時と終了時の差が顕著に表れた。C 収穫量ではオクラ(514.6g)、トマト(527.0g)、ピーマン(323.3g)、キュウリ(2551.7g)であり、収量は認められたが、1個当たりに換算すると、オクラ(15.6g)、トマト(22.9g)、ピーマン(20.2g)、キュウリ(150.1g)であり、極めて軽量であった。D 生育は確認されたものの、葉や茎は軟弱化し、収穫量も小さい結果となった。原因として、処理水中の窒素不足が考えられるが、培地中で脱窒素作用が生じた可能性があるため、今後、さらに調査を行い、適切な施肥量体系を確立する必要がある。
【要約者】 竹中洋一

[ 2013/12/26 掲載 ]


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