【表題】 メタン発酵技術を活用した沈殿汚泥処理法の開発

【著者名】 脇谷裕一郎;田中宗浩;橋本暁子;坂井隆宏;式町秀明
【所属】 佐賀県畜産試験場;佐賀大学農学部
【発行年】 2005
【雑誌名】 佐賀県畜産試験場試験研究成績書
【巻】 41
【頁】 117−121
【要約】 畜舎から排出される尿汚水は高濃度であるため、家畜尿汚水処理として、生物処理を行う必要があるが、回収される沈殿汚泥は水分が高く、堆肥化などの処理が困難となることから、簡易な処理法が求められている。そこで、本試験では、既存の貯留槽を改造したメタン発酵槽を設置し、沈殿汚泥を利用した低負荷条件におけるメタン発酵試験を行い、汚水処理過程における導入の可能性を検討した。【材料および方法】@ 本試験で用いた、佐賀県畜産試験場の汚水処理施設およびメタン発酵の処理過程の施設の特徴の一つとして、まず豚舎からの排水を第1貯留槽において固液分離機で分離し、次いで第1沈殿槽で沈殿分離することにより、ふん尿中の固形分の分離除去を行っている。A 固形分の分離を行った後、第1沈殿槽の上澄み液をばっ気槽に投入し、3槽から成るばっ気槽において生物膜法による処理を行った。メタン発酵試験の供試材料は、第1沈殿槽から排出される沈殿汚泥を用いた。B メタン発酵槽は既存の貯留槽(3.3×2.3×1.2m)を改造して2槽構造(1.6?×2槽)とし、10万円程度のコストで設置した。C メタン菌の馴致は、種菌を80kg投入した後、第1沈殿槽から排出される沈殿汚泥を2ヵ月間10kg/日投入し、運転期間中は50kg/日投入した。試験期間は5ヵ月とした。D 投入後は槽内を攪拌機で撹拌し、発酵槽内および消化液の成分および発生ガスの調査を行った。【結果および考察】@ 沈殿汚泥は、水分が90〜96%の高水分で、また、C/N比は2.5〜6.6の範囲内であり、最適とされている12〜16と比較して低い値となった。pHは7.4〜8.0の中性域の範囲となった。A メタン発酵の結果、投入汚泥に含まれる各成分の顕著な減少が確認され、BODが98%程度の高い除去率が得られた。しかし、硝化液中のNH4-N濃度は増加する傾向が確認され、投入汚泥中のC/N比が低いことにより、窒素が細菌体の形成に十分活用されず、余剰窒素が可溶性アンモニアに変換された可能性が考えられる。B 以上の結果より、沈殿汚泥をメタン発酵処理すると、有機成分の減少やメタンガスの発生が確認されたことから、メタン発酵による沈殿汚泥の処理が可能であることが確認された。C 今後、消化効率を高め、CH4ガスの濃度を向上させるためには、沈殿汚泥の投入量を調整し、温度を一定に保つための加温方法や、構造面等において工夫する必要がある。
【要約者】 竹中洋一

[ 2013/12/26 掲載 ]


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