【表題】 農家汚水のリン、pH、マグネシウムの調査結果とMAP反応を利用したリン除去技術の現場養豚農家に対する応用の可能性

【著者名】 坂井隆宏;古田祥知子;河原弘文;式町秀明;鈴木一好
【所属】 佐賀県畜産試験場;佐賀県窯業技術センター;(独)農研機構・畜産草地研究所
【発行年】 2008
【雑誌名】 佐賀県畜産試験場試験研究成績書
【巻】 44
【頁】 56−60
【要約】 MAP反応を利用した豚舎汚水中のリンの除去技術の現場の養豚農家への応用を目的として、農家の汚水調査を行った。また、調査農家より汚水のpHが異なる農家2件を抽出し、室内実験によりMAPの反応を利用してリンが除去できるか検討を行った。【農家の豚舎汚水調査】佐賀県内の養豚農家15からのべ27検体の豚舎汚水のサンプルを採取し分析した。[結果]@ 調査農家の平均母豚能数は131±84.3頭であった。汚水pHの平均値は8.0でほぼ6.8〜9.4の範囲に分布していた。A また、PO4-P、MgとpHの間に高い相関が得られたことから、農家汚水中において自然状態で既にMAPが生成していることが推察された。【実験1:pHが中性域の汚水に対して】@ 汚水pHが7〜8の中性域であった農家(母豚120頭繁殖経営)の豚舎汚水で曝気によるpH上昇とMAP反応の誘導が可能かどうか実験を行った。A また、農家調査より水溶性PO4-P除去にはMgが若干不足していると考えられたことから、Mgの添加によるPO4-P除去の促進の可能性を検討した。[結果]@ 汚水(pH7.42)を300mL/L・minで曝気したところ4時間の曝気でpHが8.7まで上昇し、PO4-Pが約75.4%除去された。A また、同じ汚水に50mg/Lの割合でMgを添加して同様に曝気すると除去率が10%程度上昇した。【実験2:pHがアルカリ性域の汚水に対して】汚水pHがアルカリ性域であった農家の汚水(pH8.88)にMgをそれぞれ5mg/L、10mg/L、20mg/L添加したところ、Mgの添加量が多いほどPO4-Pの減少量が大きくなり、それぞれ4.6%、13.8%、32.8%の除去率が得られた。【考察】@ 現場の養豚農家の汚水でもMAP反応の誘導が可能であり、pHが中性域の場合は曝気とMgの添加により、アルカリ性域の場合はMgの添加のみによってMAP反応によるPO4-Pの不溶化、除去が可能であることが確認された。A 実験1で、曝気により豚舎汚水のpHを上昇させたのは、曝気で汚水中の炭酸ガスを追い出してpH上昇要素と下降要素のバランスを変化させる手法である。B ばっ気の配管は大半の豚舎汚水処理施設は既に付属しているものであり、この方法を利用すれば比較的簡易な改造により農家の汚水処理施設にもMAP反応を誘導する装置を設置できるものと考えられる。C MAP反応によるリン除去技術を農家に導入を図る場合、除去できるリンは理論的にはリン酸イオンに由来するものだけであるため、基本的にはMAP反応はばっ気槽に投入する前の粗取りと考え、活性汚泥処理と組み合わせて考えるべきと思われる。
【要約者】 竹中洋一

[ 2014/12/02 掲載 ]


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