【表題】 陶器部材を用いた豚舎汚水からのリン除去・回収技術

【著者名】 脇谷裕一郎;坂井隆宏;古田祥知子;関戸正信;河原弘文;鈴木一好
【所属】 佐賀県畜産試験場;佐賀県杵農業改良普及センター;佐賀県窯業技術センター;(独)農研機構・畜産草地研究所
【発行年】 2009
【雑誌名】 佐賀県畜産試験場試験研究成績書
【巻】 45
【頁】 55−62
【要約】 @ 素焼きセラミックスは多孔体構造であるため結晶物の付着性が高く、またMAP反応の誘発に必要なMg液に浸漬処理することで多孔体部分にMgが付着して、結晶物回収量が増加する可能性が考えられる。A そこで、本試験では陶器系材料を利用したMAP回収部材を作成し、部材の形状およびMgCl2・6H2O液に浸漬処理した場合に、リン除去・回収に及ぼす影響について調査を行った。【材料および方法】@ 供試施設は、畜産試験場および県内養豚農の既存標準活性汚泥処理施設の2ヵ所で実施した。A 既存施設の沈殿槽および流量調整槽に仕切り板を設置し、汚水中のpHを曝気により調整するために散気装置を設置した。また、MgCl2・6H2O液をMAP反応槽に添加するための溶解タンクを設置した。B 畜産試験場施設は、最初沈殿槽(7.5?)を改造してMAP反応槽(1.8?)とし、処理対象頭数は母豚60頭一貫規模(肥育豚600頭換算)、日平均汚水量は平均6.6?、設置コストは、工事費、機械類および回収部材込みで約130万円となった。C 農家実証施設は、流量調整槽(7.5?)を改造してMAP反応槽(2.4?)とし、処理対象頭数は母豚120頭繁殖経営規模(肥育豚456頭換算)、日平均汚水量は平均3.2?、設置コストは、工事費、機械類および回収部材込みで約140万円となった。D 回収部材は陶器系材料を利用して、凹凸構造の異なる2種類の部材を作成した。回収用部材は水田土壌、砂等を原料とした。原料を星形およびスプロケット型(内径56mm×外径80mm×長さ300mm)に成形後、焼成した。E 容器に固定してMAP反応槽に投入し、成分除去およびMAP回収状況について調査を行った。F また、回収部材の半量について、30%MgCl2・6H2O液に浸漬処理を行い、未処理部材との比較も行った。G 供試汚水は豚舎から排出された汚水を固形物除去後にMAP反応槽に1日当たり30〜50回程度に分割して投入した。【結果】試験期間中の汚水成分について、MAP反応の誘発により全リンおよび水溶性リンが除去され、また、他の水質項目についてもMAP反応に影響を及ぼすことなく90%以上の高い除去率が得られた。A 回収部材における全付着結晶等量は、畜産試験場施設および農家実証施設のどちらも凹部分が狭い星形部材の方が多くなることが確認され、また、30%MgCl2・6H2O液に浸漬処理回収部材が、未処理部材と比べて顕著に多くなった。B 回収した結晶物は、X線解析および成分分析を行った結果、MAPであることが確認された。
【要約者】 竹中洋一

[ 2014/12/02 掲載 ]


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