【表題】 養豚排水処理における温室効果ガス排出削減技術の開発(第3報)−酸素供給を制限した養豚排水処理における温室効果ガス(N2O)の放出−

【著者名】 河原弘文;前田高輝;脇谷裕一郎;長田 隆
【所属】 佐賀県畜産試験場;(独)農研機構・北海道農業研究センター;(独)農研機構・畜産草地研究所
【発行年】 2011
【雑誌名】 佐賀県畜産試験場試験研究成績書
【巻】 47
【頁】 35−38
【要約】 本研究では養豚排水を対象として、酸素供給を制限することで亜硝酸型硝化・脱膣反応を誘発させた条件で処理し、その処理過程における反応槽内の窒素動態、反応槽外の大気中に放出された一酸化二窒素量(N2O)を測定した。【材料および方法】@ 供試排水は養豚排水にグルコースを添加し、CODcr/T-N比(全窒素に対する全有機物の割合)を4.9に調整した。A 運転操作条件としては90分通気・30分無通気を交互に繰り返した間欠曝気を24時間を1工程として運転し、窒素容積負荷217.0mN/L・d、MLVSS濃度10,555mg/Lであった。【結果】@ 溶存酸素濃度は開始22時間後までセンサーの検出限界以下の非常に低い濃度であった。A 亜硝酸性窒素は開始4.5時間から蓄積し、開始22時間後にピークが観察された。硝酸性窒素は開始20時間以降わずかに蓄積した。B 一酸化二窒素の放出は亜硝酸性窒素の蓄積が始まった4.5時間以降から開始約22時間後まで観察された。C 反応槽に流入した排水中T-N(全窒素)量に対する大気中に放出された一酸化二窒素(N2O-N)量の割合は20.0%(mgN2O-N/mgT-N)と極めて高かった。【考察】@ 本試験の無通気工程では無酸素状態になっていることから、脱窒反応において一酸化二窒素が蓄積し、その後の通気によりガス交換され大気中に放出されたと推測される。A 一酸化二窒素の放出速度はピークの後に急激に減少しているものの、その後の通気(好気)工程においても一酸化二窒素の放出が観察された。したがって、通気工程においても一酸化二窒素が生成し放出していたと考えられる。B 硝化反応における一酸化二窒素の生成量は多くない可能性があり、本実験における通気工程での一酸化二窒素生成の主な起源としては脱窒反応である可能性がある。C 本研究では養豚排水を対象に酸素供給を制限することで亜硝酸型硝化・脱窒反応を誘発させ、窒素除去を試みた。排水中の窒素除去についてはアンモニア、亜硝酸、硝酸の極度に高い蓄積も起きず良好な除去結果が得られた。D しかし、一酸化二窒素が大量に生成・放出し、その生成には亜硝酸蓄積が関与していると推定された。亜硝酸型硝化・脱窒反応はC/N比が低い養豚排水の窒素除去には有効ではあるが、亜硝酸蓄積による一酸化二窒素の生成・放出のリスクが高いと思われる。
【要約者】 竹中洋一

[ 2014/12/02 掲載 ]


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