【表題】 養豚排水処理における温室効果ガス排出削減技術の開発(第4報)−内呼吸での脱窒反応におけるN2O生成に対するFNAの影響−

【著者名】 河原弘文;脇谷裕一郎;永渕成樹;長田 隆
【所属】 佐賀県畜産試験場;(独)農研機構・畜産草地研究所
【発行年】 2012
【雑誌名】 佐賀県畜産試験場試験研究成績書
【巻】 48
【頁】 25−29
【要約】 C/N比が低い養豚排水処理においては多量のN2O放出が観察されることがあり、その起源はNO2条件での従属栄養細菌の内生呼吸での脱窒反応と推測されるが、明らかではない。そこで、本研究ではNO2蓄積条件での内生呼吸の脱窒反応におけるN2O放出特性の把握を目的として、N2O放出に影響を与える可能性がある因子であるNO2濃度、pH水準、遊離亜硝酸(FNA)濃度および細胞内貯蔵有機物量との関係を実験により調査した。【材料および方法】@供試活性汚泥:グルコースを有機物とした合成排水を間欠曝気活性汚泥法で処理している反応槽から活性汚泥混合液を採取した。混合液中の有機物、細胞内貯蔵有機物を消費させるために12時間以上バブリングした後4℃で保管した。A実験方法:N2O生成とその生成に強く影響を与える可能性がある因子との関係を把握するために、3つの脱窒速度試験を実施した。試験1では細胞内貯蔵有機物が少ない状態でNO2濃度・pH水準、FNAとN2O生成との関係を調査した。試験2では細胞内貯蔵有機物量を増加させた状態でのFNAとN2O生成との関係を調査した。試験3ではNO2を除去した条件においてpHがN2O還元反応に与える影響を調査した。【結果および考察】@ 従属栄養細菌の内生呼吸での脱窒反応におけるN2O生成は、NO2濃度、pH水準それぞれ単独での影響よりも、FNA濃度の方が強く影響していることが確認された。FNA濃度が約0.004mgN-HNO2まではFNA濃度の増加と共にN2O生成率は急激に高くなったが、FNA濃度が約0.004mgN-HNO2以上ではN2O生成率は40%前後と一定である傾向であった。A また、細胞内貯蔵有機物の蓄積量はN2O生成率に影響しなかった。FNA濃度が0.0002mgN/L(pH7.5でN2O濃度が2.5mgN/L、pH7.0でNO2濃度が0.8mgN/L)以上でN2O放出率は10.0%以上に達しており、わずかなNO2蓄積においても内生呼吸の脱窒反応におけるN2O放出は非常に高かった。このことは、養豚排水処理においてN2O排出を抑制するには、NO2蓄積を避ける運転が重要であることを意味している。B NO2蓄積は酸素供給が制限された硝化反応において起きやすい。酸素供給が十分な硝化反応では排水中のアンモニアはNO2を経てNO3に変換されるが、酸素供給が制限された硝化反応ではNO3まで変換されずにNO2が蓄積する。N2O排出を抑制した排水処理法としては、硝化工程において十分な酸素供給を行いNO3まで変換することが必要であると考えられる。
【要約者】 竹中洋一

[ 2014/12/02 掲載 ]


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