【表題】 環境調和型畜産と自給飼料生産

【著者名】 目黒良平
【所属】 東北農業試験場
【発行年】 1992
【雑誌名】 東北農業研究
【巻】 別号5
【頁】 73−87
【要約】 本論は自給飼料生産をふん尿問題との関連で、また山地の草地利用をSA(持続型農業)の観点から考えてみたい。 【T 自給飼料生産とふん尿問題】 @ 畜産体質とふん尿問題:近年家畜飼養頭数の増加が著しく、特に土地に基盤を持たない豚・鶏が急激に増加した。そこで、様々なふん尿処理利用技術、燃料利用や浄化処理等が検討されているが、中心はコンポスト化しての圃場還元である。増大するふん尿を土−作物[草]−[家畜]の循環に還元・利用できるか、東北地域の現状をみたい。Aふん尿としての飼料構造:わが国の飼料自給率(TDN換算)は26%であり、このうち国内生産の粗飼料からの自給は18%に過ぎない。窒素の需給でみると、需要量82.4万tの内75%、61.8万tを輸入に依存していることになる。B東北地域のふん尿生産量 Cふん尿の施用適量 D 東北地域のふん尿還元量:東北地域の作付面積は全体で95万ha、このうち飼料作物は15万ha、水稲52万ha、畑作物8.8万haとなっている。地域で生産されたふん尿をすべて地域内で処理利用するとした場合、全家畜のふん尿を草地・飼料畑に還元すると窒素で10a当たり61kgの還元量となる。これは施用適量のおよそ3倍であり、草地・飼料畑だけでの還元が無理であることを示している。一般耕地への還元が不可欠である。それでは全家畜のふん尿を全耕地に還元すると9.8kgの還元量となる。これは20kg前後という施肥適量の半分であるが、普通作物では厩肥2t、窒素で10kg前後と考えると、ほぼ現状で施用適量に達しているという見方もできよう。E ふん尿過剰施用の害 F 過剰ふん尿への対策必要:窒素量の大きい草種・品種、作付体系等の導入により、飼料作物の飛躍的な増収を図り、必要窒素量を増加させ、ふん尿の施用量も増加させることができる。G 新草種・品種、作付体系の導入 【U 山地草地の持続的利用】 @ 山地草地の保全 A 山地草地と公共牧場 B 草地立地条件 C 山地草地の植生改良と放牧利用時の窒素循環 D 先行・後追い放牧 E 更新時における雑草の生態的防除 F 山地の複合植生帯の利用:山地の放牧はいわば家畜の行動を通して山の複雑な形で広く薄くあるエネルギーを家畜の体に集積して、他の方法では集めることが困難な国産エネルギーを有効化する手段だと言える。複合植生帯としての山地草地の利用はこの様な資源の有効利用と同時に、環境と調和し、長期的視点にたった持続的な利用を可能とする土地利用型畜産の一つのあり方を示すものと考えられる。
【要約者】 竹中洋一

[ 2014/12/02 掲載 ]


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