【表題】 浄化槽汚泥・し尿・生ごみ由来メタン発酵消化液の窒素特性と水稲への肥料効果

【著者名】 横田仁子;大森誉紀
【所属】 愛媛県農林水産研究所
【発行年】 2012
【雑誌名】 愛媛県農林水産研究所 企画環境部・農業研究部 研究報告
【巻】
【頁】 8−12
【要約】 現在、愛媛県下ではメタン発酵施設は導入されていない。しかし、将来的に施設導入が図られた場合、消化液を農業分野で効率的に利用するためには、消化液の特性を活かして特別な施用器材によらず、かけ流し処理が可能な水稲への適用性が最も高いと言える。そこで、本消化液の窒素特性と水稲への基肥利用による肥料効果を明らかにした。【材料および方法】@ 2010年5月に福岡県大木町のメタン発酵施設「おおき循環センター」より採取した消化液を供試した。保温静置培養法により消化液を土壌に施用した際の無機態窒素量の変化を測定した。A 消化液中のアンモニア態窒素濃度の推移 B 水稲に対する消化液の基肥施肥による肥料効果:水田土壌を風乾し、1/5,000aワグネルポット当たり4kg充填したものを用いた。施肥量試験では消化液0、38、77、154、307gをポットの上層土壌(10cm深、2kg重)に混和し、ただちに湛水し、代かき状態まで混和した。施肥法試験では、混和区と表面区の2種類の処理区を設け、混和区は施肥量試験と同様の方法で行い、表面区は湛水後代かき状態にした土壌表面に消化液を施用した。消化液の施用量はポット当たり480gと240g施用区を設置し、対照区とする化学肥料区では硫酸アンモニア、粒状過リン酸石灰、硫酸カリウムを消化液と同じ成分量になるように施用した。両試験とも基肥のみ施用である。【結果および考察】@ 本試験で供試した硝化では、全窒素の89%がアンモニア態窒素であった。今回の試験において浄化槽汚泥・し尿・生ごみ等を原料とする消化液では、乳牛ふん尿原料の消化液と同等がそれ以上の割合でアンモニア態窒素を含むことが判明した。このことから、水稲への速効性肥料としての利用可能性が考えられる。A 密閉条件で貯蔵した消化液中のアンモニア態窒素濃度は処理28日目でもほぼ変わらなかったが、開放条件では処理開始日に比べ約15%に減少した。窒素の損失速度を考慮するとメタン発酵処理施設に近隣する農地で速やかに消費することが望ましい。B 畑条件の培養試験では処理10日目以降に急激に硝化作用が進み、28日目には無機態窒素のうち硝酸態窒素が占める割合は約80%となった。実際の水田では入水前は畑条件下となり、消化液を施用すると硝化作用が進み、下層への窒素溶脱が起こる可能性が高い。そのため、消化液は土壌に混和後、速やかに入水・代かきを行う必要がある。C 水稲の忌避を施肥設計する際は全窒素でなくアンモニア態窒素で計算し、さらに無機態窒素の消失量を考慮して窒素を20%程度増量させて施用することが望ましいと考える。
【要約者】 竹中洋一

[ 2014/12/02 掲載 ]


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