【表題】 家畜排せつ物・廃棄物の処理と利用 −酪農が環境に及ぼす影響とその対策−

【著者名】 羽賀清典
【所属】 (財)畜産環境整備機構&麻布大学
【発行年】 2013
【雑誌名】 畜産コンサルタント
【巻】 588
【頁】 35−37
【要約】 国際酪農連盟」(IDF)ワールド・デイリー・サミット2013における特別講演9の環境セッション2では、「家畜排せつ物・廃棄物の処理と利用」をテーマに4つの講演発表があった。本講では4つの講演発表の概要と、それに関連してわが国の畜産環境の現状と対策について述べる。@ 乳牛排せつ物処理からの温室効果ガス(GHG)発生とその低減:農研機構畜産草地研究所・長田隆上席研究員が酪農におけるGHGの測定法と低減対策について講演した。わが国の乳牛150万頭から排せつされるふん尿量は2420万tに上る。ふん尿処理過程で発生するGHG(二酸化炭素換算)は堆肥化で253万t、スラリー処理(液肥処理)で23万7000t、乾燥・焼却で2〜3万tと試算され、堆肥化からの発生が90%近くを占めている。堆肥化の初発水分を81〜75%に調整することによって、メタンの80%、一酸化二窒素の25%が削減できることを明らかにした。A 放牧酪農システムにおける窒素溶脱の軽減:ニュージーランドの(株)DairyNZのエリック・ヒラー チーフ・サイエンティストが放牧酪農システム(totally pasture-based system)と舎飼システム(wholly confinement system)の環境影響について講演した。ニュージーランドでは、土壌から溶脱して地下水に影響を及ぼす硝酸塩に大きな関心がある。長期間にわたる環境影響を調査し、収益と生産性の高い酪農システムを提案した。B 日本における乳牛排せつ物を原料とするメタン発酵:現状と将来の見込み:北海道バイオガス研究会の会長である松田従三・北大名誉教授が酪農におけるメタン発酵の現状について講演した。バイオガスプラントは堆肥化に比べてGHGの発生量が1/9となる。発電量当たりのGHG削減量は二酸化炭素換算で3kg/kWhとなるが、太陽光発電や風力発電の削減量は0.5kg/kWhなので、バイオガスプラントは6倍の削減量がある。さらに、悪臭の低減などふん尿処理の役割、消化液の肥料価値によって化学肥料を減らせることなどの効果を上げることができる。C 牛乳容器包装−食料と資源の無駄削減に向けて D 硝酸性窒素の暫定基準が平成25年7月に700mg/lに改定された。暫定基準は3年後に見直しがされる。酪農では汚水処理後に公共水域へ放流する例は少ないが、活性汚泥法など高度な汚水処理技術を畜産において駆使しているのは日本独自のものであろう。さらに、酪農では搾乳関連排水(パーラー排水)処理技術が必要となるであろう。規模拡大の傾向がみられる中で、重要な課題となってくる。
【要約者】 竹中洋一

[ 2014/12/02 掲載 ]


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