【表題】 地域資源(牛ふん籾殻堆肥)活用によるうまい米作り

【著者名】 森正克英;田中孝之
【所属】 石川県農業情報センター;石川県松任農業改良普及所
【発行年】 1991
【雑誌名】 圃場と土壌
【巻】 268+269
【頁】 101−106
【要約】 石川県松任市の水田は取手川扇状地に発展した乾田で、排水が良く、養分の流亡が激しく、また1977年からの圃場整備による土の移動等のため、地力が消耗している。そのため、地力向上と環境改善に地域資源(牛ふん籾がら堆肥)を活用し、水稲収量の安定とうまい米作りに地域がまとまり、成果を上げている事例を紹介する。[2] 土壌の化学性は県内土壌の平均値と比較すると、可給態燐酸が高く、有機物指標の全炭素、全窒素が低く、可給態窒素、珪酸がかなり低い。前述の要因により、生産基盤である土壌の有機物や養分の不足等土壌の悪化が目立ってきた。[3.牛ふん籾がら堆肥の生産]@ 市内酪農家より排出される牛ふんと農協ライスセンターの籾がらを利用した良質堆肥、および籾がらを燃焼したクンタンと山土混合の水稲育苗床土の生産を決定し、1982年に農業有機物供給センターの施設建設に着手した。A 1987年に機械施設を代え、エンドレス処理方式から混合後堆積発酵する方式にした。この方式は、混合時に籾がら2に対し牛ふん1を混ぜ、それに完熟した堆肥を発酵種菌として加えている。そのときに籾がらの吸水能力を高める装置が付属している。牛ふんと籾がらの混合物は堆肥舎の中で年数回切り返しながら順次移動し、熟成を図っている。B 1990年の生産は9,120?に達し、8割が水田、残りが野菜、果実で使用されている。C 牛ふん籾がら堆肥は臭いがほとんど無く、黒褐色を呈し、マニュアスプレッダーで散布しやすい等扱いやすい状態である。D 堆肥の化学性は乾物で窒素1.6%、燐酸2.0%、加里1.5%が平均的な値である。園芸用に1年以上熟成を図った価格の高いものと、価格が半分で?当たり2,000円の水田用の2種がある。[4.牛ふん籾がら堆肥の効果]@施肥量を減肥しても高い収量が取れる。A施肥施用によって、肥効が後半までゆっくり利いている。C白度や食味値が向上し、うまい米づくりに寄与する。C 堆肥の土壌改良効果として、土壌分析結果から腐植、可給態燐酸、珪酸等の増加が認められた。[5.環境調和とうまい米つくり]@ 酪農家からの牛ふんは、農業有機物供給センターが特殊バキュームカーを用い土日を除く毎日収集するようになった。籾がらは松任市農協のライスセンターに大量にあり、その処分に困っていた。この二つを堆肥化したことは、農業の中だけで環境問題を起こすことなくリサイクルし、その上、松任の痩せた土壌の肥沃化に貢献している。A 農協が中心となって、一般耕種基準を守り、牛ふん籾がら堆肥施用と50%以上有機質の入った肥料を使い栽培した米を東京へ自主流通米として出荷し、好評を得ている。
【要約者】 竹中洋一

[ 2014/12/02 掲載 ]


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