【表題】 ふん尿処理と連作障害一挙に解消 −10年目のジンクスを克服した野菜産地−

【著者名】 村上義勝
【所属】 熊本県農業研究センター
【発行年】 1991
【雑誌名】 圃場と土壌
【巻】 268+269
【頁】 120−126
【要約】 昭和50年代に設立された小原有機センターが、ふん尿処理に悩む畜産農家と、堆肥不足に悩む野菜農家の地域複合化として手を取り合った土づくりをサポートして17年になる。この活動の特徴は参加42戸の平等・互助の原則、完熟堆肥の生産と施用、専従オペレーター1名の配置、わかりやすい単年度決算方式、有機野菜づくりにある。[1] 熊本県山鹿市の農業生産の内、野菜生産額が最も多く37%を占めているが、主な作目はスイカ、メロンなどの果菜類である。次いで畜産24.5%、米21%となっており、県下有数の農業地帯である。[2] 当該地域は火山性黒ボク土台地で、昭和39年頃までは養蚕地帯であった。その後、野菜産地への一大転換が行われた。昭和45年にはスイカの施設栽培が導入され、以降ハウスは大型化、固定化が進み、化学肥料に依存した栽培が行われ、連作障害と地力の低下が顕在化してきた。一方、畜産農家も多頭化に伴うふん尿処理、敷料確保に苦慮し、稲わらとふん尿を農家同志で交換していた。[3] 有機センターの組織は昭和50年に野菜農家48戸と畜産農家5戸が参加して、野菜生産安定事業により堆肥センターを設置した。現在の有機センターの構成員はすべて専業農家(野菜35戸、畜産7戸)であり、耕地面積80ha(水田40ha、普通畑40ha)に水稲、野菜(スイカ、白菜、人参)が栽培されている。地域内に肉用牛が常時1,000頭以上飼育され、ふん尿は十分に供給される。[4] 堆肥の原料であるふん尿の収集については、畜産農家自身が直接搬入することを前提とし、隣県の家具木工団地からのおが屑の安定供給により、ふん尿の水分を65%に調整して搬入する条件がクリアされる。この生ふんに米ぬか、酵素を混合し、約4ヵ月で4回の切り返しを行い製品として出荷している。[5] 有機センターの組合員は、@堆肥の施肥(野菜畑4t/10a・年、稲麦1t/10a)A深耕ロータリー、トレンチャーによる深耕 B土壌分析に基づく施肥改善等により総合的な土づくりを実施している。作付体系はスイカ+白菜・人参の周年栽培が長い期間繰り返されているが、収量・品質の低下はなく、スイカは三番果まで収穫可能となり、大幅な収量の増加と品質の向上、生産コストの低減が図られている。[6] @堆肥施用年間4t以上/10a、A堆肥施用5年以上連続圃場、B農薬使用量防除基準の1/2以下の栽培基準に適合したものについて、有機栽培の保証レッテル(現在の基準では減農薬?)を発行し生産物の保証販売を実施している。[7] 同組織には若い経営者と後継者が70%以上育っている。
【要約者】 竹中洋一

[ 2014/12/02 掲載 ]


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