【表題】 福岡県における土づくり実践例

【著者名】 藤田 彰
【所属】 福岡県農業総合試験場生産環境研究所
【発行年】 1994
【雑誌名】 圃場と土壌
【巻】 304+305
【頁】 107−110
【要約】 【事例T 組織的土づくりによる良質米の安定生産】土づくりを効率的に推進するために、いち早く的確な土壌診断に基づいて組織的に取り組み、大きな成果をあげている「広川町有機農業研究会」の活動について紹介する。[3.土づくり運動開始の動機と組織化の経過]@ 本地域では、高度成長期以降、化学肥料に偏重した農業生産が長い間行われてきた。その結果、水稲、麦の収量低下や園芸作物の連作障害などが顕在化した。A この中で、総和53年2月に「広川町農業振興協議会」の各部会の代表からなる「土づくり研究会」が結成され、その後同年4月、農協青年部長、養鶏組合代表、酪農組合代表を加えた「広川町有機農業研究会」が設立された。B 同時に、同研究会が中心になって、「堆肥センター」が建設されると共に、土層改良のためにバックホーが導入された。土壌診断に基づいた施肥改善を積極的に推進するため、昭和56年に「土壌分析センター」を設置するなど、土づくり態勢が強化された。C ともすれば農協任せになりやすい「堆肥センター」の運営を自主的に行ってきた結果、現在、採算的にも軌道に乗っている状況である。[4.]その後「堆肥センター」は増設され、現在では年間3,000t前後を生産し、良質堆肥を安定的に供給している。[5.]堆肥の多量施用により作物の生育障害が頻発したため、昭和56年に堆肥施用試験の5ヵ年計画を作成し、作物別に試験圃場を設けて実証試験を開始した。水稲(ニシホマレ)では、5月に2t/10aを毎年施用した結果、生育が良好となり、540〜570kg/10a程度の収量を得ることができた。【事例U 共同化による稲わら収集と堆肥散布】農業機械利用組合に導入された汎用コンバインのオペレータ確保を契機に、酪農家が共同で地域の稲わらを収集し、代わりに牛ふん堆肥を無料で散布するシステムを確立した事例について紹介する。[共同化の背景と経過]@ 本地区では米を取り巻く情勢の変化に対応するため、平成元年に7台の汎用コンバインを核とする「馬田地区農業機械利用組合」が設立されたが、肝心のオペレータの確保が非常に難航した。兼業化が進んだ地区であるため、耕種農協サイドには、オペレータを出す余力が失われつつあった。A その対応として、平成2年に地域リーダーを中心に10戸の酪農家が結集し、「馬田粗飼料生産組合」が設立された。大型ロールベーラの購入を「農業機械利用組合」が受け持つことにし、双方がタイアップすることによって、広範な稲わらの収集と水田への堆肥散布がシステム化されることになった。B 現在、130ha以上の稲わらが収集され、粗飼料として有効に活用されているところである。
【要約者】 竹中洋一

[ 2014/12/02 掲載 ]


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