【表題】 糞尿の山は黄金の山 −家畜糞尿の活用と施肥改善による肥料費の大幅削減−

【著者名】 石井忠雄
【所属】 北海道立北見農業試験場
【発行年】 1998
【雑誌名】 圃場と土壌
【巻】 340+341
【頁】 86−89
【要約】 北海道で環境汚染防止と施肥改善による低コスト生産で大きな成果を上げている模範的農場を紹介する。[1.農場の概要]網走支庁の上涌別町に位置し、経営面積は採草地30haと飼料用トウモロコシ畑15haなど計57ha。平成4年にフリーストール・ミルキングパーラーシステムの導入を機に増頭し、現在では約170頭を飼養している。[2.ふん尿の処理]搾乳牛と育成牛合わせて年間のふん尿排出量は約3,000tにも達すると推定される。ふんと尿が敷料(オガクズ)と混合したスラリーの状態で排出され、ピット(150?)に一時(20日程度)貯留、その後スラリーストア(770?)にパイプを通じて圧送・貯留される。散布前1週間のみばっ気する。これによって、悪臭は除去され、スラリーの粘度は低下して散布しやすい状態になる。[3.ふん尿の散布]積載量5tのスラリーローリーを使用し、採草地は4回に分けて10a当たり合計5t、飼料用とうもろこし畑には2回に分けて合計5t散布する。草地と畑は4団地に分かれており、1kmも離れた団地もあるので、毎回の散布作業には1週間も要している。[4.スラリー散布に対応した施肥管理]採草地(チモシー)へのスラリー散布にともなう施肥量は、スラリー5tを4回に分けて均等に散布し、これによって年間の窒素とカリ養分は施肥標準並を確保している。リン酸については、スラリーから5kgを見込み、施肥で8kgを施用して合計14kg弱のリン酸施用量となる。このリン酸施用量は施肥標準の6kgと比較して多いが、スラリーからの供給を過大に見積もっていると思われる。飼料用とうもろこしでは、播種前に散布するスラリー2.5tから窒素7.5、リン酸2.5、カリ10kgの供給を見込み、施肥としては第二リン安で窒素6.8、リン酸18kgを施用している。施用標準値と比較すると、リン酸の施用量がやや多く計算されるが、実際の施用量としては適正であろう。しかし、飼料用とうもろこし畑には前年秋にもスラリー2.5tを散布しており、土壌のカリ蓄積防止に留意する必要があろう。[5.経営的評価]このようにスラリーを肥料評価した上で、不足分を施肥で補うことにより、現在の年間の肥料費(草地更新時の炭カルも含む)は60万円と非常に少ない。これにスラリーばっ気に要する電気代30万円を加えても、スラリー活用以前の肥料費220万円と比較して、半分以下の肥料費となっている。[6.]現状では、環境保全上の施用限界量を大幅に下回っており、当面、環境を汚染する心配はないと考えられる。
【要約者】 竹中洋一

[ 2014/12/02 掲載 ]


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