【表題】 成型家畜ふん堆肥の養分放出パターンの一例

【著者名】 吉田 澪
【所属】 九州農業試験場
【発行年】 1999
【雑誌名】 圃場と土壌
【巻】 364+365
【頁】 24−29
【要約】 九州農業試験場総合研究第3チームでは、家畜ふん堆肥の肥料効果を評価すると共に成型化によって肥料成分放出パターンを制御して、化学肥料代替物として使いこなそうという試みがなされている。本稿では、筆者が第3チームにおいて試みた、完熟ふん堆肥から三要素の放出パターンが成型化によって変化するのかどうか知るために行った試験の例を示す。【材料および方法】[供試土壌]細粒赤色土[供試堆肥]こまつ肥沃1号(JA玖珠)のバラ製品およびローラー・ディスクダイ式ペレッターによる直径8mm、長さ約1cmの成形物。堆肥の成分について以下、堆肥(バラ、成型)の様式で記す。全窒素1.4%、硝酸態窒素(mg/100g)(122.4、90.0)、アンモニア態窒素 nil、全リン酸4.4%、水溶性リン酸(mg/100g)(316.5、143)、全カリ2.8%、pH 7.8、電気伝導度6.0mS、水分(現物%)(60.0、26.9)[供試作物]コマツナ[試験・施肥設計]@ 試験区はバラ堆肥区、成型堆肥区、化学肥料区(物理性比較用)の3区に対して、供試堆肥量は現物重量でそろえた。A また、この試験に先立って行った、数種の土壌による堆肥の有効化の追跡結果から、本土壌の肥沃度は堆肥のみで試験を行うには低すぎると思われたので、初期生育を確保するためにりん安、硝安を加えた。B 試験はガラス室において8週間行った。C 試験期間中、1週間毎に各区2ポットの化学性、4、8週目はこの他に各区3ポットの物理性を測定した。【結果および考察】@ バラ堆肥では土壌への混ぜ込み後1週間で始まった窒素の放出が2週間後にはピークに達したが、成型化によって土壌中の硝酸態窒素量が6週間後まで初期と同等な濃度に保たれる結果となった。A 最終的な窒素の有効化率は成型化によってバラの13.7%から7.4%に低下したが、この差の窒素量は養分予備軍と考えられ、さらに昨期の長い作物、吸肥力の高い作物を栽培すること、または複数回の作付けなどによって有効化し得るものであろう。B 成型による養分放出パターンの大きな変化がりん酸に認められた。成型堆肥区では無機肥料のかたちで補ったりん酸だけで植物は育ったと言える結果となった。C 以上の結果は一つの乳牛・オガクズ堆肥についてのものであり、さらに、同じ堆肥であっても成型化条件によって様々な結果が得られるはずである。D 成型化によって成分調整・肥効調整を含めて限りなく化学肥料に近いものをねらうのか、輸送性・取り扱い性の向上のみを目的にするか、主として土壌改良材としての効力を重視するか、種々の考え方があろう。
【要約者】 竹中洋一

[ 2014/12/02 掲載 ]


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