【表題】 根室管内における糞尿の処理・利用の実態と問題点

【著者名】 松本武彦;小出佳正;吉川 直;能代昌雄
【所属】 北海道立根釧農業試験場;北根室地区農業改良普及所;計根別農業協同組合
【発行年】 1993
【雑誌名】 北農
【巻】 60−4
【頁】 40−44
【要約】 本報は現在の根室管内における糞尿の処理および利用の実態について調査した結果を報告する。【調査方法】(1) ふん尿処理・利用実態調査:1989年に中標津町計根別地区233戸の酪農家を対象にアンケート調査を実施した。また、1991年には同地区において堆積期間が異なる堆きゅう肥20数点をサンプルリングした。(2) 堆肥場周辺土壌の化学性:牛舎から搬出された糞が草地に還元されるまでの貯留場所となる堆肥盤および草地の二次的な堆積場の周辺土壌について、窒素、リン酸およびカリ含有量の調査を行った。堆肥盤の端から5〜40mの範囲内で、傾斜や糞尿の流出方向を考慮して決定した2地点から土壌を採取した。調査対象とした酪農家50戸の糞尿処理方式はすべてバーンクリーナーによる固液分離方式であった。草地の堆積場周辺については堆きゅう肥から5、10mの2地点で土壌を採取した。土壌は0〜10、10〜20cmの2層に分けて採取した。【結果および考察】(1) 1)概況:成牛1頭が1日に排泄する糞尿の量を糞40kg、尿20kgと仮定すると、計根別地区の平均的な酪農家一戸からは1年間に1358tの糞尿混合物が排泄されることになり、それらを全草地に均一に散布すると、10a当たり糞尿混合物として約3tが還元される計算になる。2)堆きゅう肥の管理:堆きゅう肥は平均12.9ヵ月間堆積されてから草地へ還元されているが、その間の堆きゅう肥の切り返し回数は草地への移動を含めて1.4回と少なかった。そのため、堆きゅう肥の表面は乾燥していても、表面から30cm程度内側では生糞とほとんど変わらな性状をしているものが大半であり、未熟のまま草地に還元されているのが現状である。堆積期間中に水分、窒素、カリ含有量は減少し、特にカリ含有量の低下が著しく、リン酸含有量の減少は小さかった。3)堆きゅう肥・尿の利用:草地更新時に堆きゅう肥を散布している農家が約2/5、秋が2/5、春が1/5であった。尿は秋に散布している農家が最も多かった。堆きゅう肥、尿を施用した農家の44%は化学肥料を減肥していなかった。調査地区の平均的な酪農家一戸当たりから排出される糞尿をスラリーの形で適当な時期に全草地に均一に還元したとすると、10a当たり窒素6kg、リン酸1.5kg、カリ12kgもの化学肥料が節減可能になる。(2) 同地区の糞尿処理周辺土壌の化学性を調査した結果、堆肥盤の端から20m位までは土壌中の養分含量が著しく高く、草地に堆積された堆きゅう肥周辺土壌の養分含量も高かった。
【要約者】 竹中洋一

[ 2014/12/02 掲載 ]


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