【表題】 堆肥に含まれるリン酸の肥効

【著者名】 東田修司;中瀬祐介
【所属】 拓殖大学北海道短期大学環境農学科
【発行年】 2013
【雑誌名】 北農
【巻】 80−4
【頁】 31−39
【要約】 本報告では、作物による堆肥リン酸の吸収利用をポットおよび圃場条件下で検討し、減肥の指針を得ようとした。【実験方法】1)堆肥に含まれるリン酸の肥効に関するモデル実験 (1) 1/2000aポットにトルオーグリン酸を検出できない土壌を充填して実験を行った。供試作物はリン酸吸収力の比較的強いキガラシと比較的弱いダイズとした。(2) キガラシ、ダイズとも比較対照として堆肥を施用しない無リン酸区、ヨウリン区、過リン酸石灰区を設けた。堆肥区には化学肥料としてのリン酸を施用しなかった。各区、リン酸(P2O5)施用量を20kg/10a相当量に統一した。(3) 施用した堆肥量は、生重換算で2.2〜2.7t/10a相当であり、生産現場での堆肥施用量と大差ない。(4) 窒素、カリの施用量を、それぞれ10、20kg/10a相当量とした。堆肥の施用区では、堆肥に含まれる窒素の20%、カリの全量を施肥から差し引いた。2)圃場条件での堆肥のリン酸肥効 (1) 供試土壌の土壌区分は褐色低地土で、作土の土性はCL、腐食に富み、リン酸吸収係数1200、トルオーグP2O5は33mg/10aである。前試験で豆類のみリン酸施肥反応がみられたので、ダイズとアズキを供試した。(2) 供試堆肥は、モミガラを牛舎の敷料に用い糞尿混合後堆積腐熟させたものであり、乾物当たり2.16%のP2O5を含む。散布量は乾重で880kg/10aだったので、施用した堆肥に含まれるリン酸量は19kg/10aである。(3) ダイズ、アズキとも処理区は堆肥施用の有無と過リン酸石灰施肥の有無を組み合わせた4処理とした。ダイズの窒素、リン酸、カリ施肥量は1.5,11,4/10a、アズキは3,10,4kg/10aとした。【結果および考察】1)キガラシは堆肥に含まれるリン酸を過リン酸石灰とほぼ同等に吸収利用した。他方、ダイズによる堆肥リン酸の利用は過リン酸石灰の1/4程度に過ぎなかった。また、堆肥はヨウリンの可給化を促進しなかった。2)圃場条件でダイズ、アズキを供試し、堆肥を全層、過リン酸石灰を作条施肥条件で比較した試験結果は、両者のリン酸肥効に大差はなかった。@ これらの結果から、北海道でも府県並みまで、堆肥に含まれるリン酸の減肥可能量を高めることができると考える。A 堆肥のリン酸を減肥することによって施肥を大幅に削減できる。このことは経費上のメリットばかりでなく、肥料の量が減ることから施肥播種機への肥料積載回数を減らすなど、春繁忙期の作業軽減にもつながる。B ただし、リン酸吸収係数の高い圃場での秋施用や、プラウ耕による反転耕起が堆肥リン酸の肥効に及ぼす影響については未解明の部分があり、早急に検討を要する。
【要約者】 竹中洋一

[ 2014/12/02 掲載 ]


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