【表題】 活性汚泥浄化槽の「適正な運転」と「窒素除去効率のよい運転」−浄化機能を損わず低コストで効率的な窒素低減方法−

【著者名】 川村英輔
【所属】 神奈川県農業技術センター畜産技術所
【発行年】 2013
【雑誌名】 畜産コンサルタント
【巻】 582
【頁】 20−24
【要約】 畜舎汚水を浄化処理するための活性汚泥浄化槽は、「適正な運転」を行っているとBOD濃度数千mg/Lもの豚舎汚水を、透視度が30cm以上もある、まさに「飲めそうな水」にまで浄化する能力がある。【2】活性汚泥浄化槽の「適正な運転」を行うためには、活性汚泥が活躍するばっ気法槽内を「適切な酸素量が供給され、活性汚泥が浄化機能を発揮できる環境」にしなくてはならない。そのためには、@ばっ気槽に流入するBODを適正な量にすること、A設計当時の適正なばっ気量を維持すること、B余剰汚泥を引き抜いて適正な汚泥量を維持すること、の3点が必要である。それらの環境が整っていると汚水中の有機物は消化(BOD分解)される。さらにはタンパク質やアンモニアといった窒素成分が、亜硝酸性窒素から硝酸性窒素へと硝化される。これらの消化および硝化は、全て活性汚泥が行っている。【3】ばっ気槽の大きさは、ばっ気槽に流入するBODから決定している。流入BODは、浄化槽設計時に飼養頭数やふん尿分離の状況および前処理工程などから計算して求めている。このため、飼養頭数の増加や畜舎でのふん尿分離率や前処理工程の能力低下により、ばっ気槽内へのBODの投入量が増加すると、ばっ気によりばっ気槽内に供給できる酸素量は一定であるため、浄化槽を「適正な運転」とすることができず、酸素不足の状態となり「活性汚泥が浄化機能を発揮できない環境」となる。畜舎でのふん尿分離および前処理の徹底は、活性汚泥浄化槽を管理する上ではとても重要である。【4】平成16年以前に設計された浄化槽の多くは、BODを処理するよう設計されているため、窒素成分を除去する機能を有していない。このため、これまでの「適正な運転」で硝化した排水中の硝酸性窒素をさらに低減する技術が必要である。脱窒菌が働くには、BODと硝酸性窒素があり、かつ無酸素状態になることが必要で、そのため「適正な運転」によりBODが低減し、硝酸が出現する状態になった上で無酸素状態を追加し、2つの状態を組み合わせることが処理水中の窒素低減のかぎになる。そこで、当所では、回分式活性汚泥浄化槽の「運転方法の変更」により脱窒機能を付加する試験を行った。これにより浄化槽は、「適正な運転」に脱窒機能を付加した「窒素除去効率のよい運転」が可能となった。脱窒反応に必要な条件である「BODと硝酸性窒素があり、かつ無酸素状態」は、ばっ気時にばっ気装置を一時的に停止することで、簡単に作り出すことができる。
【要約者】 竹中洋一

[ 2014/12/02 掲載 ]


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