【表題】 暑熱対策の新たな試み −岡山県で取り組む新素材の畜産分野への応用−

【著者名】 三門隆之
【所属】 おかやま酪農業協同組合
【発行年】 2013
【雑誌名】 畜産コンサルタント
【巻】 582
【頁】 50−53
【要約】 西南暖地地域の岡山県では、かつて酪農最盛期に建てられた牛舎構造の特徴の一つである、スレート屋根(セメント製:一度熱を持つと夕夜になっても抜けない)構造の牛舎、および大型換気扇の設置が難しい低い屋根牛舎等をよく目にする。これらの建築素材や建物構造は、夏の気候条件下で乳牛に大変厳しい状況をもたらす傾向にある。換気扇増設、散水、飼養管理改善、毛刈り等の対策からはなかなか期待するほどの効果が得られていない。さらに、夏季の収益性が低下(乳量低下)する時期における、換気扇・送風機による消費電力費増は、生産者にとって頭を悩まされる問題である。【建物における上下熱移動の実に70%を占めるといわれている熱放射(輻射;他は熱伝導、対流)をおさえる、牛舎屋根の暑熱対策の新素材】@ 今回は、夏の対策として一昨年より取り組んでいる遮熱断熱塗装「クールサーム」(販売元:(株)大高商会)について紹介したい。A「クールサーム」はNASA開発の4種類の特殊セラミックを含むエマルジョン遮熱・断熱塗料のことであり、スペースシャトルの断熱材としても使用されている。B 太陽エネルギーを強力に反射放散させ、熱の侵入を大幅に遮断し、温度低下効果を得られるのが特徴である。C また、促進耐久試験では10年後でも日射反射率80%の耐久性、15年後でも73%、18年を経ても効果が下がらず温度低下の持続性があると認められている。D 本来は、ビル空調効率・節電等を目的とし、工場やオフィスの屋上・外壁等に施工される塗装で、屋根の表面温度を低く保つことができるのが特徴である。E 例えば、夏の屋根表面温度が60℃を超えるような場合でも、施工後の屋根表面(屋根裏も)温度は外気と同程度(30℃〜35℃程度)までしか上昇しないという断熱性能がある。F この特性を牛舎屋根に応用すれば、牛舎内部への熱の侵入を防ぎ、牛舎内環境温度を低く持続することが可能となる。特に夜間において牛の快適性が得られる効果が大きい。【施工中の畜主からの感想】・いつもは、朝一番に牛舎にくると、立ちっぱなしの牛がいるのに、全部の牛が横臥してくつろいでいた。・採食量は増え(残飼がなくなり)、翌日のバルク乳が増えた。・夕方の搾乳時、屋根のほてりがなくなり、換気扇の送風を緩めることができた。電気代の節約にも効果がありそうだ。【暑熱に絡む治療や出費・電力消費を抑えることができれば、施工に係わる投資金額は3年で償還できる計算となり、暑熱期間の畜舎環境の悩みから解放されるだろう。】
【要約者】 竹中洋一

[ 2014/12/02 掲載 ]


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