【表題】 畜産排水からの窒素・リン・カリウム回収技術の開発

【著者名】 日置雅之
【所属】 愛知県農業総合試験場畜産研究部畜産環境研究室
【発行年】 2013
【雑誌名】 畜産技術
【巻】 2013.6
【頁】 17−21
【要約】 【2.】窒素とカリウムについて、陽イオン吸着に優れたゼオライトによる吸着回収を試みた。市販の天然ゼオライト2種類を2戸の養豚場の膜分離式浄化槽処理水にそれぞれ添加し、処理水成分の吸着量を比較した。その結果、処理水の上液中のNH4+-Nとカリウムはゼオライトに含まれるカルシウム、ナトリウムに交換・吸着されたものと考えられる。しかし、吸着に優れているゼオライトであっても、NH4+-Nおよびカリウムの吸着量はそれぞれ最大で11.5mg/gと14.7mg/gで、膜分離水中のNH4+-N、カリウム全量を回収するためには多量のゼオライトが必要となることが明らかとなった。【3.】(1) 畜産排水中の窒素・リン回収に対してMAP法では、汚水のpHを上げ、場合によってはマグネシウムを補給することで結晶化が促進されている。そこで、筆者らはアルカリ性のマグネシウム資材を添加することによって、効果的なMAP回収が図られるのではないかと考えた。そこで、畜舎汚水からMAPを回収するのに最も適したアルカリ性マグネシウム資材を選定し、連続バッチ試験を実施してMAP回収量を調査した。(2) 4種類のマグネシウム資材を量を変えて畜舎汚水に添加し、MAP生成の指標となる汚水中の溶存態無機リン(DIP)濃度の低下割合を比較した。この内、酸化マグネシウムは、マグネシウム供給量がアルカリ性資材の中では最も多く、処理水pH、DIP濃度低下率が最も高くなりMAP回収資材として有望であると判断した。(3) 酸化マグネシウム用いてバッチ試験を連続的に行い、MAP回収効果を検証した。さらに、鈴木の方法に準じ、全試験期間にわたって円筒形の亜鉛メッキ網を反応槽中の汚水に浸漬してMAPの回収を試みた。その結果、酸化マグネシウムの添加によって、処理水pHは、酸化マグネシウムの添加量に応じて高くなり、254mg-Mg/L以上の区では8を超えた。処理水NH4+-N、DIP濃度は、資材の添加量に応じて低下し、391mg-Mg/L以上添加した区では、NH4+-Nで約50%、DIPで約85%程度と高かった。しかし、MAP回収率は低く、浄化できた窒素やリンの内96%以上が処理槽の底に沈殿したものと推察された。【おわりに】畜舎汚水の酸化マグネシウムの添加は、マグネシウムの供給に加えて、汚水のpHを高め、DIP濃度を効果的に低減することが明らかとなったが、実際のMAPの回収率は低かった。これは、汚水の撹拌や毎日の全量交換等の装置上の問題だけでなく、汚水pHの上昇によるMAP以外の難溶性リン酸塩の生成やアンモニアの揮散等も原因と考えられる。
【要約者】 竹中洋一

[ 2014/12/02 掲載 ]


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