【表題】 畜産排水のアナモックス処理 −活性汚泥処理水への適用の可能性−

【著者名】 和木美代子
【所属】 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 畜産草地研究所
【発行年】 2013
【雑誌名】 畜産の研究
【巻】 67−7
【頁】 751−756
【要約】 @ 畜産排水は有機炭素/窒素比が低いことから、脱窒反応の際に必要となる電子供与体(有機炭素)が不十分であり、外部電子供与体の添加無しでは従来の汚水処理手法による完全な窒素除去は困難である場合が多い。A アナモックス反応はこのような汚水からの窒素除去を可能とする1990年代にヨーロッパで見つかった新規微生物反応である。アンモニアと亜硝酸という無機窒素化合物同士のカップリングで窒素ガスを作る。1モルのアンモニアと1.3モルの亜硝酸を消費し、1モルの窒素ガスと0.3モルの硝酸を生産する。分類上はPlanctomycetes門に属するCandidatus Brocadia等の5つの属が提案されている。B 窒素除去に有機炭素を必要としないため、有機炭素/窒素比の低い、畜産廃水を含む各種汚水の窒素除去への応用が期待され、工場廃水処理等への利用に向けて研究が進みつつある。その一方で未だ菌の単離はされておらず、自然界での生息条件も不明である等、多くの謎が残されている。C 筆者らは、前述の理由で窒素除去が不充分であった、畜産廃水の活性汚泥処理の後処理としてアナモックス処理を利用するための研究を行っている。D 畜産現場においてアナモックス処理を導入するための重要な課題として、アナモックスリアクターを構築するためアナモックス菌を増やす元となるアナモックス種汚泥の入手、および亜硝酸・アンモニアを基質として含む無機塩の合成培地が最適であると考えられているアナモックス菌をそれと異なる実廃水でどのように利用するか、が挙げられる。本稿ではこれらの課題についての検討結果を紹介する。[2.畜産廃水処理現場におけるアナモックス菌の存在とその特徴][3.アナモックス菌の増殖と硝酸還元・アナモックス反応に対する電子供与体の影響]電子供与体として水素と鉄の添加を検討した。共にアナモックス反応を高める効果が確認されたが、畜産現場において水素を利用することは制約が多い。[4.まとめ]@ 現在までの研究で、畜産農家からアナモックス種汚泥が採取可能であること、および畜産廃水においてひとまずのアナモックス処理が可能であることが示された。A 今後本反応を実用化につなげるためには、処理装置の性能の向上と亜硝酸化または硝酸還元・アナモックス反応の制御方法の問題を解決する必要がある。B アナモックス反応が畜産農家において簡易な手段で利用できるようになれば、浄化槽の法規制への対応のみならず、脱臭廃水処理や堆肥化過程での窒素除去等多方面に応用できる可能性があり、広範囲での畜産環境問題への貢献が期待される。
【要約者】 竹中洋一

[ 2014/12/02 掲載 ]


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