【表題】 畜舎排水中の硝酸性窒素除去のための硫黄−カルシウム資材及び独立栄養細菌を組み合わせた脱窒法(SLAD法)の検討

【著者名】 手島信貴
【所属】 福岡県農業総合試験場 畜産環境部
【発行年】 2010
【雑誌名】 畜産環境情報
【巻】 45
【頁】 13−16
【要約】 一般的な、汚水中の有機物や添加メタノール等のBOD源を利用する脱窒法に対し、硫黄−カルシウム資材及び独立栄養細菌を組み合わせた脱窒法(以下、SLAD法)は、硫黄酸化脱窒細菌の働きを利用した脱窒法で、硫黄を酸化し硝酸性窒素および亜硝酸性窒素を窒素ガスに還元して除去する方法である。硫黄と炭酸カルシウム等を混合した脱窒用の固形資材がいくつか開発されている。この方法は、固形資材と処理対象水を接触させるだけの単純な方式であるため、設備投資が少なく管理も容易であることが利点である。一方、低水温や生物膜の蓄積等により脱窒能力が低下することから、浮遊物質(SS)等を含む畜舎排水を対象とした場合、年間を通じて硝酸性窒素類を一律排水基準値以下に維持するためのSLAD法の処理条件を明らかにする必要がある。そこで、小型の硝酸性窒素除去装置を試作し、水温やSS等が脱窒能力に及ぼす影響や、コストに大きく影響する脱窒用資材の消費量について検討した。【2】試験概要:装置への流入水は場内から発生する養豚汚水を回分式活性汚泥法により硝化処理したものを用いた。脱窒用資材は硫黄粉末と炭酸カルシウム等を有機バインダーと共に圧縮成型した直径5mm、長さ10〜25mm程度の円柱型、容積重1.0kg/L、硫黄含有量30〜45%のもの(商品名:バチルエースYS-BR、日鉄環境エンジニアリング(株))を用いた。硝酸性窒素除去装置は容量100Lの脱窒槽が2槽あり、それぞれに脱窒用資材を50kg(50L)ずつ充填した。1日の処理水量は、約200L/日で、資材の見かけ容積当りの水理学的滞留時間(容積/時間流入量:以下、HRT)は12時間とした。水量は23L/分、2分循環・18分休止の間欠循環とした。【3】脱窒能力:水温20℃以上では、窒素負荷量が約1.26g/kg・日以下では除去率85%であるが、水温が15℃前後では脱窒能力は低下しやすく、負荷量が約0.52g/kg・日までは除去率89%が可能であるが、負荷量がそれ以上になると除去量は増加しない。さらに、水温が10℃未満では負荷量と除去量の間に一定の相関関係は認められず、平均除去量は約0.31g/kg・日。HRTが12時間の場合では、脱窒処理後に100mg/L以下を達成するための処理前濃度の上限は、水温20℃以上では615mg/L、水温15℃前後では320mg/L、水温10℃未満では220mg/L程度と考えられる。【4】脱窒用資材の消費量:1?の畜舎排水の硝酸性窒素濃度を100mg/L下げるために必要な脱窒用資材は約0.56〜0.84kg(硫黄として0.25kg)と考えられる。【5】施設規模決定目安:水温10℃の脱窒能力(約0.3g/kg・日の窒素除去量)を用いるのが妥当。
【要約者】 竹中洋一

[ 2014/12/02 掲載 ]


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