【表題】 アミノ酸含量調整技術飼料給与による肥育豚の環境負荷低減及び尿汚水処理コスト低減の実証

【著者名】 山本朱美
【所属】 (財)畜産環境整備機構 畜産環境技術研究所
【発行年】 2010
【雑誌名】 畜産環境情報
【巻】 46
【頁】 10−12
【要約】 アミノ酸調整した低タンパク質(CP)飼料に分解されやすい易分解性の繊維質成分(ビートパルプ)を多く含む飼料原料を配合した飼料を肥育豚に給与することで、発育や枝肉成績に影響を与えず、豚舎から排出される尿窒素排せつ量が3割、汚水処理コストが2割低減することが一貫経営の養豚農家で実証された。今までに、当機構研究所では、アミノ酸調整した低CP飼料中に易分解性の繊維質成分(リンゴジュース粕、ミカンジュース粕、馬鈴薯澱粉粕、ビートパルプ)を多く含む飼料原料を配合した飼料を肥育豚に給与することで、発育や肉質に影響を与えず、豚舎から排出される窒素排せつ量が著しく低減することを実験室レベルで明らかにしてきた。肥育豚への尿窒素排せつ量低減型飼料給与により、豚舎汚水濃度が低減し、活性汚泥法による汚水処理ではランニングコスト(薬剤費、電力費)の低減が期待できる。【方法】@ 市販飼料(肥育前期:CP15.9%、肥育後期:CP13.0%)を給与中の肥育豚(肥育前・後期で各々約300頭)に低CPビートパルプ飼料:市販飼料の配合設計割合を基準にして、5%のビートパルプ配合及びアミノ酸調整による2〜3%の低CP化(肥育前期:CP14.2%、肥育後期CP10.9%)を約3ヵ月間給与した。A 一部の豚で消化試験を行い、ふん中への窒素排せつ量及び発育速度等から尿中窒素排せつ量の推定。C 母豚約60頭規模(肥育豚換算600頭)の一貫経営農場全体から排出される汚水を連続式活性汚泥法による汚水処理装置での処理。【結果】(1) 肥育前期及び後期豚舎全体からの1日当たりの尿窒素排出量は、市販飼料で各々5.2kg、6.5kg及び低CPビートパルプ飼料で4.6kg、3.9kgと推定され、特に、肥育後期豚舎からの尿窒素排せつ量が低減した。肥育期全体での低減効果は、市販飼料給与時の11.7kg(肥育前期5.2kg、肥育後期6.5kg)から低CPビートパルプ飼料給与時の8.5kg(肥育前期4.6kg、肥育後期3.9kg)への約3割と算定された。(2) 汚水処理装置に流入する養豚場全体の汚水は原水槽に入る直前に、スクリーンで固液分離される。原水の性状は市販飼料で、BOD590〜1,100mg/L、T-N約600mg/L、低CPビートパルプ飼料でBOD630〜940mg/L、T-N約555mg/Lだった。農場全体から排出される汚水の処理コストは市販飼料給与時の出荷豚1頭当たり550円と比べ、低CPビートパルプ飼料給与で440円となり、2割低減した。(3) 低CPビートパルプ飼料給与により、出荷日齢は平均166日齢と市販飼料給与時よりも早くなった。枝肉成績には飼料による差は見られなかった。
【要約者】 竹中洋一

[ 2014/12/02 掲載 ]


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