【表題】 酪農を核に地域の農業構造が変貌 −岡山県・幸田地区−

【著者名】 山本文二郎
【所属】 農政ジャーナリスト
【発行年】 1999
【雑誌名】 畜産の情報(国内編)
【巻】 117
【頁】 4−13
【要約】 @ 岡山市の東にある旧太白村の幸田地区は300年ほど前に造成された辛島干拓地の一角にある。肥沃で平坦な水田地帯である。幸田地区の酪農家は大型圃場整備(水田80ha、平成元年〜9年、14億円;→大型機械化(オペレーター)、不耕起直播稲作48ha)を契機に、酪農の体質改善を進めながら、一方で、畜産の大きな課題となっている環境保全にも力を入れるようになった。A 昭和53年頃から環境保全事業に取り組み、ふん尿乾燥ハウス、堆肥舎、バキュームカー、マニュアスプレッダーなどを整備していった。だが、混住化が進み、悪臭やハエの発生などにより、従来の処理方式では十分に対応できなくなってきた。B そこで、平成8年に9戸の酪農家と4戸の耕種農家で邑久郷堆肥利用組合をつくり、環境保全型畜産特別対策事業に取り組み、約1億円の事業規模で堆肥発酵処理施設を整備した。C ふん尿処理は利用しやすいように施設の分散型をとった。発酵処理施設が2棟、ふん乾燥処理施設が4棟、ばっ気施設2基の他、2tダンプ等が整備された。育成牛を含め約400頭のふん尿が処理される。D まず、一番処理に困る尿は、ばっ気施設で約1週間ブロアーで送風して脱臭する。年間の生産量は2,200t、自己の圃場か耕種農家の圃場に液肥として散布される。E ふんは畜舎から1次処理のふん乾燥処理施設に搬入される。その際、西大寺農協のライスセンターで発生し処分に困っていたモミガラ(細かく粉砕して供給される:水分吸収は粉砕前の10倍くらいになる)をふん尿の水分調整のため、加える。良質堆肥生産の重要な資材で堆肥が完熟した後も、形が残るので土が空気を含み柔らかくなる。F 10〜20日ほど堆積されて水分65%くらいに1次処理したふんは、一部は利用組合員の圃場に還元されるが、後は発酵処理施設に搬入される。そこでブロアーを使ってワラが分解するまで5ヵ月ほど堆肥発酵させ、水稲、野菜、果樹用等として農協を通じて販売される。G 年間の堆肥生産量は約1,500t、自己の圃場に還元されるのが4割弱、耕種農家向けが2割、残りが販売される。40L袋詰めで420円、バラで2tダンプ1台1万8千円。H 酪農家はまた、堆肥の耕地への還元による土づくりを積極的に進めている。ある農家は「10a当たり年に4t近く還元している」という。このため、土が肥え、土壌構造が良くなり、粗飼料の収量が増え栄養価が高くなっているという。米の収量も県平均より10a当たり25kg多い。畜産と耕種が有機的に結びついて、農業の循環システムが確立されてきている。
【要約者】 竹中洋一

[ 2014/12/02 掲載 ]


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