【表題】 飼料からの畜産環境対策 −環境負荷低減飼料を利用した窒素・リン排せつ量の低減−

【著者名】 杉中 求
【所属】 農林水産省生産局 畜産部 畜産企画課 畜産環境・経営安定対策室
【発行年】 2013
【雑誌名】 畜産環境情報
【巻】 49
【頁】 1−10
【要約】 畜産環境対策として、環境中に排せつされたふん尿を処理するだけではなく、家畜に取り込まれる飼料からも環境問題を考える必要がある。そこで、本年6月に飼料の公定規格が一部改訂され「環境負荷低減型配合飼料(子豚育成用及び肉豚肥育用)」(以下、低減型飼料)の規格が新設された。その概要を紹介する。(1) これまでの国の補助事業による低減型飼料の試験結果 @ 平成10〜14年度の低たん白、低りんの調査試験において、排せつ量は窒素・リンで2割強の減少、排せつ量も1割強減少した。A 平成19年度からの「アミノ酸含量調整技術飼料給与による肥育豚の環境負荷低減及び汚水処理コスト低減の実証」では、肥育一貫経営(母豚60頭規模)の豚舎から尿窒素排出量が約3割、汚水処理コストが2割低減され、発育、枝肉成績は市販飼料と同等以上であった。(2) 低減型飼料 @規格設定:これまでの飼料の公定規格は栄養成分量の最小値が設定されており、飼料を製造する者は成分量の安全率を見込んで成分量を多めに設計した飼料を製造している。しかし、家畜が吸収できる許容量を超えて製造された飼料は、結果的に排せつ物として環境中に排せつされる。したがって、低減型飼料は必要以上の栄養成分量を配合しないよう栄養成分量の最大量を決めたものである。A 低たん白質飼料は、平成10年度から行われてきた調査試験結果に基づきCPを12%まで低減してもそれを補うアミノ酸を添加することで肉豚の肥育に必要な栄養成分量は確保できることがわかった。B 低リン飼料についても、平成10年度からの調査試験結果に基づき非フィチンリンを0.14%まで下げても肉豚出荷に影響を及ぼすことなく、リンの排せつ量を大幅に低減できることが確認された。C 規格:1)環境負荷低減型配合飼料の肉豚肥育用配合飼料の規格は、これまでの公定規格の概念を見直し、必要な成分量でも環境に影響が出る場合は、他の飼料原料によって確保し「○○%以下」と表示することとした。2)粗たん白質は、家畜の成長に必要な量以上としないよう上限値が定められた(12%以上→13%以下)。上限値に変更した粗たん白質は肉豚の成長に必要な栄養成分量をアミノ酸(@リジン0.56%以上、Aトレオニン0.36%以上、Bメチオニン+シスチン0.34%以上)で充足する規格になっている。3)リンについても上限が定められた(0.35%以上→0.50%以下)。上限値に変更したリンは肉豚の成長に必要な栄養成分量を「非フィチンリン」や「フィチンリン+フィターゼ」で充足する規格になっている。
【要約者】 竹中洋一

[ 2014/12/02 掲載 ]


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