【表題】 前処理の重要性〜リンも除去回収できる!

【著者名】 鈴木一好
【所属】 (独)農研機構 畜産草地研究所 畜産環境研究領域
【発行年】 2013
【雑誌名】 月刊養豚界
【巻】 48−9
【頁】 28−31
【要約】 豚舎汚水処理水の心臓部である活性汚泥設備を適正に稼働させるためには、前処理段階で固形物や汚濁成分の濃度を下げることが肝要である。ここでは、主な前処理設備の種類とその特徴についてまとめた上で、最近開発されたリンの除去回収技術についても紹介する。【はじめに】@ 活性汚泥設備では、水溶性の汚濁物質であれば短時間で分解される。しかし、固形状の汚濁物質は分解に時間がかかるため、これらが活性汚泥法設備に流入すると活性汚泥量が急激に増大したり、場合によってはこれら固形物が未分解の状態で処理水中に流出してしまい、処理水質を悪化させる原因となる。A そのため、活性汚泥設備を良好に保つ上で、活性汚泥設備の前の段階、つまり前処理段階において固形物や汚濁成分をできるだけ取り除くことが重要である。前処理としては主に固液分離設備、重力沈殿設備、凝集分離設備などが広く用いられている。【固液分離設備】は、比較的サイズの大きい固形物を除去するもので、傾斜スクリーン型(分離固形物の含有率は約85%と比較的高い)や振動ふるい型(分離固形物の含有率は約80%)などが養豚現場で広く用いられている。【重力沈殿設備】は汚水を静置することで、汚水中の微細な固形物を比重差によって沈殿分離する。多くの場合、前述の固液分離設備による処理を経た汚水が対象となる。分離した固形物は水分を多く含むので凝集分離設備などによる脱水処理が必要となる。A SSは80〜96%程度低減される。BOD、全窒素、全リンなどの汚濁成分も同時に低減化するが、アンモニア態窒素や水溶性リン酸態リンなど水溶性の汚濁物質は低減化率が比較的低い。【凝集分離設備】は、汚水に高分子凝集剤などを添加して汚水中の微細な固形物を凝集させた後に脱水機にかけることで、脱離液(分離汚水)と脱水ケーキ(分離固形物)に分離する。高い固形物分離性能があることから、ふん尿混合汚水など汚濁物質濃度が高い汚水に適した処理法である。多くの場合、固液分離設備による処理を経た汚水が対象となる。A 脱水ケーキの含水率は70〜85%と低く抑えることができる。SSは90〜99%程度低減化される。重力沈殿設備と同様、ほかの汚濁成分も同時に低減化でき、水溶性の汚濁成分は低減化率が比較的低い傾向がある。【リンの除去回収技術】最近、前処理段階で汚水中のリンを除去回収する技術が開発された。汚水中の水溶性リン酸態リン濃度が比較的高い場合に、リン酸マグネシウムアンモニウム(MAP)結晶化反応という化学反応を利用したリン除去回収技術を用いることで、汚水中の水溶性リン酸態リンを除去回収し、リンを肥料として有効活用できる。
【要約者】 竹中洋一

[ 2016/1/4 掲載 ]


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