【表題】 簡易手法による酪農雑排水の窒素低減

【著者名】 田中康男;山下恭広;荻野暁史
【所属】 (独)農研機構 畜産草地研究所 畜産環境研究領域
【発行年】 2013
【雑誌名】 JATAFFジャーナル
【巻】 1−2
【頁】 28−32
【要約】 酪農雑排水の浄化放流の際に窒素低減が必要となる場合がある。このような際に利用できる窒素低減技術の候補として、硫黄脱窒法とパーライト添加法がある。【硫黄脱窒法】@ 硫黄脱窒法は通常の生物学的な浄化処理で硝酸態または亜硝酸態窒素が残留する場合に後段に設置するもので、窒素除去に特化した技術である。この技術では、硫黄酸化細菌の代謝を活用して窒素の除去を行う。A 硫黄酸化細菌は、硫黄を酸化することでエネルギーを得て二酸化炭素を同化して増殖する化学合成細菌の一種であり、土壌および水界に広く分布している。この硫黄酸化細菌の中には、嫌気性条件下で硫黄を酸化しながら硝酸や亜硝酸を還元して窒素ガスにする(脱窒)機能を有するものが存在する。B 硫黄脱窒は硫酸イオンの生成を伴うため酸性化を防ぐ必要もある。このため、硫黄に加えて炭酸カルシウムをリアクターに投入し、中和するのが一般的である。C 管理は容易だが、現状では専用資材を利用する必要があり、コスト低減に限界がある。安価な粉末硫黄の利用法確立が今後の課題である。【パーライト添加法】@硫黄脱窒法のように窒素除去に特化した技術ではなく、簡易浄化を目的とした技術でありながら窒素低減もある程度期待できる手法として、粒状パーライトを微生物保持坦体として添加したばっ気処理法も検討されている。A パーライトは、園芸や土木の分野で広く利用されている無機性の多孔質軽量資材である。様々な粒径や硬度の製品が流通しているが、水中に投入した場合の流動性や耐摩耗性の観点から、粒径1.5〜3mm程度で硬度の高いものが適切である。B パーライトに付着する微生物は、有機物の分解に加えて窒素低減の機能も発揮する。容積128Lの円筒形リアクターにパーライトを30L投入し、牛舎由来汚水を処理した試験では、汚水中のアンモニア態窒素(処理前の平均46mg/L)が平均65%減少した。全窒素除去率は平均69%と高い値を示した。C 好気性条件下でも高い窒素除去性能が発揮された理由としては、パーライト上の微生物膜表層で硝化が進行し、生物膜下層およびパーライトの内奥部の嫌気部位で脱窒が進行したためと推測される。D 簡易な施設で対応できる長所があるが、ばっ気に伴う流動でパーライトが摩耗する。摩耗を最低限にとどめつつ、必要十分なばっ気を行う手法の確立が今後の課題である。
【要約者】 竹中洋一

[ 2016/1/4 掲載 ]


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