【表題】 MAP結晶化反応を利用した豚舎汚水からのリン除去回収技術

【著者名】 鈴木一好
【所属】 (独)農研機構 畜産草地研究所 畜産環境研究領域
【発行年】 2014
【雑誌名】 農業および園芸
【巻】 89−5
【頁】 537−544
【要約】 凝集沈殿法では、リンのリサイクル利用に多段の工程と高額のコスト負担が必要である。除去回収したリンのリサイクル利用が比較的容易で専任の汚水処理技術者のいない養豚事業所でも専任の汚水処理技術として、ジルコニウムフェライト樹脂吸着法や非晶質ケイ酸Ca水和物(CSH)吸着法などが提唱されているが、今回は豚舎汚水中の水溶性リン酸を結晶化して回収するMAP(リン酸マグネシウムアンモニウム)法について紹介する。2.@ MAP反応はpHが8〜9付近で最大となることが知られており、豚舎汚水でも何らかの手段で汚水のpHを8以上に上昇させることでMAP反応を誘導することが可能である。A 豚舎汚水のpHが始めから8を超えている場合もある。高pH環境下でMAP反応が進行した結果、もともとの汚水中にあった水溶性Mgをほぼ使い切っているので、汚水に水溶性Mgを添加することにより更なるMAP反応の誘導が可能となる。3.@ 多くの養豚事業所では専任の汚水処理技術者がいないため、劇物であるアルカリ剤を用いないpHの上昇手段としてばっ気法を採用した。汚水に空気を吹き込むことで汚水中に溶存している炭酸ガスを追い出してpHを上昇させる方法で、豚舎汚水の場合でもばっ気によりpHを8.5程度まで上昇させることが可能である。A MAPの比重は1.71と大きいため、容易に沈殿分離することができる。そこで、ばっ気により汚水のpHを上昇させてMAP反応を誘導する「ばっ気部」と生成されたMAPや汚水中の有機固形物を沈殿分離する「沈殿部」を併せて有する装置として、MAPリアクターを考案した。B 全リン濃度は29±5mg/L(水溶性リン酸濃度は19±5mg/L)と低く保たれていた。また、汚水中のアンモニア性窒素濃度もMAP結晶への取り込みやばっ気部でのばっ気による追い出し作用などにより、3〜4割低減化されていた。更に、SS濃度も当該リアクターの沈殿機能により大幅に低減化されていた。同じく、銅および亜鉛も大きく低減化されていた。4.付着回収法による豚舎汚水中リンの回収 5.導入コスト低減化などの試み 6.付着回収法により得られるMAPの純度はおよそ95%であるが、洗浄により純度を99%程度にまで高めることができる。いずれであっても、天日乾燥させた後、肥料会社等における加工を経ることなく、直ちに圃場にてリン酸肥料として利用できる。市販のリン酸肥料よりもゆっくりと溶出することなどから、タマネギ栽培にMAPの方が優れており、それ以外の作物でも遜色ない肥効を示す。
【要約者】 竹中洋一

[ 2016/1/4 掲載 ]


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