【表題】 酪農の糞尿処理・利用

【著者名】 羽賀清典
【所属】 (財)畜産環境整備機構
【発行年】 2011
【雑誌名】 (続)マニュア・マネージメント
【巻】 デイリーマン臨時増刊号
【頁】 18−23
【要約】 ここでは、酪農のふん尿の特徴と処理・利用を概観し、さらにたい肥化について概説したい。3.処理・利用法:スラリー処理の一つであるメタン発酵は、エネルギー生産、消化液の臭気低減、無機態窒素の増加などの効果がある。4.たい肥化[家畜ふん尿の堆肥化のメリット]堆肥化には3つのメリットがある。1つには、生ふんの汚物感や悪臭をなくし病原菌や寄生虫などを死滅させることによって、使用者にとって取り扱い易い良質で安全な有機質肥料資源(堆肥)を製造できる。2つには、堆肥が土壌や作物にとって良質な有機質肥料となる。3つめは、有機資源リサイクルによって資源循環型社会に貢献できることである。[堆肥化の適正条件]堆肥化を順調に進行させるためには、好気性条件を確保し、微生物を活発に活動させる条件整備が必要である。その条件として、栄養分、空気(酸素)、水分、微生物、温度、時間の6つが挙げられる。堆肥化の微生物は酸素と水を使って、栄養分を分解し、発熱して堆肥をつくる。<栄養分>堆肥化微生物のための栄養バランスとして、炭素窒素比(C/N比)がある。牛ふんのC/N比は15〜20と窒素の比率が十分にあるので、堆肥化のために窒素を添加する必要はない。<空気と水分>生ふんの水分は約80%と高く、微生物の活動に水分不足となることはないが、通気性が悪くなり酸素不足となる。通気性の発現する水分は副資材を無添加の場合、鶏ふんが52%、豚ぷんが55%、乳牛ふんが68%以下とされている。強制通気する場合の適正通気量は、堆肥の1?当たり50〜300 L/分の範囲にある。一般的に100 L/分程度の通気量で運転する堆肥化装置が多い。<微生物>家畜ふん1gの中には、元々微生物が1億〜10億個程度存在し、その微生物が堆肥化を進行させる。生ふんの中の微生物の数は堆肥化に十分な数であり、外部から特殊な微生物を添加する効果はあまり期待できない。むしろ、生ふんに元々存在する微生物が好気的に活動しやすい環境条件を整備し、また、良質堆肥の微生物を戻し堆肥の形で活用する技術が重要と考える。<発熱><切り返しと堆肥化に要する時間>処理日数の一応の目安として、家畜ふんだけの場合は2ヵ月、稲わら、もみ殻まどの作物残さを混合した場合は3ヵ月、オガクズ、バークなどの木質資材を混合した場合は6ヵ月とされている。<堆肥化装置>/農林水産省が最近公表した調査(2009年12月1日現在)によると、全国の酪農のふん尿の45.5%がふん尿分離した後に処理され、分離固形物の96.7%が堆肥化処理(堆積発酵90.1%)され、分離尿の89.6%が液肥として貯留、0.8%が公共下水道で処理されている。
【要約者】 竹中洋一

[ 2016/1/4 掲載 ]


[ 文献リスト ] のページ に戻る